1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経切断および薬剤投与による味蕾細胞のアポトーシスの誘導機構
Project/Area Number |
09671861
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
武田 正子 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40001953)
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Keywords | 味蕾 / アポトーシス / 神経切断 / Bcl-2 / Bcl-x / 舌咽神経 / コルヒチン / 有郭乳頭 |
Research Abstract |
舌味蕾の支配神経を切断すると、味蕾は変性、消失し、神経が再生すると味蕾も再生することから、味蕾の支配神経は、味蕾を栄養する因子を持つことが推測されてきた。この因子の本体は不明であったが、われわれの最近の研究で、マウスの舌咽神経を切断すると、有郭乳頭の味蕾がアポトーシスによる細胞死に陥り消失することから、神経が持つ味蕾の栄養因子には、味蕾のアポトーシス抑制因子が含まれることが明らかになった。そこで、この抑制因子が何かを探るため、アポトーシスの誘導機構を解明することにした。すなわち、支配神経切断(栄養因子除去)や、コルヒチンなどの薬剤による外的要因を受けとめ、細胞内に死のシグナルを伝達する味蕾細胞のレセプターは何か、アポトーシスの誘導因子によって、その発現が影響を受ける遺伝子や蛋白質は何かを明らかにする。 そこで、味蕾細胞死に直結した遺伝子を検索するため、遺伝子が作る蛋白質の抗体を用いて免疫組成化学を行った。B細胞リンパ腫で見つかった癌遺伝子bcl-2は、アポトーシスを抑制するので、その蛋白質Bcl-2の味蕾での発現について調べた。またbcl-2ファミリーの一つのBcl-xについても調べた。成熟マウスの有郭乳頭について、Bcl-2とBcl-xに対するポリクローナル抗体を一次抗体としてLSABキット(DAKO社製)を用いて行った。固定は、アセトンでは反応は全く出なかったが、Zamboni液で良好な結果が得られた。凍結切片を作成し、一次抗体に4℃1晩反応させ、その後二次抗体と反応させ、DAB染色を行った。Bcl-xの分布は、通常Bcl-2と異なることが多いが、今回有郭乳頭の味蕾細胞およびその周囲の上皮細胞全層は、Bcl-2およびBcl-xに同じように陽性反応を示した。この反応が支配神経切断後やコルヒチン投与後にどのような変化をするかは現在検索中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masako Takeda: "Apoptosis in mouse taste buds after denervation" Cell and Tissue Research. 286. 55-62 (1996)
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[Publications] Yuko Suzuki: "Phagocytic cells in the taste buds of rat circumvallate papillae after denervation" Chemical Sences. 21. 476-476 (1996)
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[Publications] Yuko Suzuki: "Effect of denervation on lymphocytes and dendritic cells in the rat circumvallate and foliate papillae" Anatomy and Embryology. 196. 447-455 (1997)
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[Publications] 武田正子: "神経切断後およびコルヒチン投与後の味蕾細胞のアポトーシス" 日本味と匂学会誌. 3・3. 556-559 (1996)
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[Publications] 武田正子: "コルヒチン投与後の有郭乳頭の味蕾細胞と上皮細胞のアポトーシス" 解剖学雑誌. 71・6. 690 (1996)