1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経切断および薬剤投与による味蕾細胞のアポトーシスの誘導機構
Project/Area Number |
09671861
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
武田 正子 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40001953)
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Keywords | 味蕾 / アポトーシス / 神経切断 / カルシウムイオノフェア / バリノマイシン / 有郭乳頭 |
Research Abstract |
味蕾の細胞の生存には、支配神経の存在が必要不可欠である。支配神経を切断するとマウスでは、舌味蕾が変性、消失するが、この時の味蕾細胞死はアポトーシスによるものである。そこで、この支配神経に含まれるアポトーシス抑制因子の解明を試みた。まずアポトーシス誘導機構について調べるため、種々の薬剤をマウスに投与してみた。チュブリンと結合し、微小管の構築を阻害するコルヒチンを投与すると、味蕾細胞はアポトーシスに陥るが、同様の現象は嗅上皮や鋤鼻器の細胞にも見られることがわかった。 神経系では、カルシウムがアポトーシスに対して重要な働きをすると考えられているが、味蕾細胞は種々の味物質に反応して脱分極応答を示す神経細胞に近縁の細胞である。胸腺細胞では、カルシウムイオノフェアを作用させると細胞内にカルシウムイオンが流入し、アポトーシスが誘導されることが知られている。カルシウムイオノフェアの1つであるバリノマイシンを成熟マウスの舌に局所注入し、1時間、8時間、24時間後に屠殺し、舌有郭乳頭味蕾についてアポトーシス細胞核を検出するDNA nick-end labeling(TUNEL)法と、透過電子顕微鏡により観察したが、味蕾には殆どアポトーシス細胞核は検出されなかった。今後さらに、味蕾細胞内へのカルシウムイオンの流入、イオン濃度の上昇とアポトーシスの関係を調べるため、digital imaging解析法などの方法により味蕾細胞のカルシウム濃度の分析を試みる予定である。
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[Publications] Masako Takeda: "Expression of the neural cell adhesion molecule in mouse taste buds after denervation" Journal of Electron Microscopy. 48,1. 39-45 (1999)
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[Publications] Yuko Suzuki: "Colchicine-induced cell death and proliferation in the olfactory epithelium and vomeonasal organ of the mouse" Anatomy and Embryology. 198. 43-51 (1998)
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[Publications] Yuko Suzuki: "Bulbectomy of neonatal mice induces migration of basal cells from the olfactory epithelium." Developmental Brain Research. 108. 295-298 (1998)