1999 Fiscal Year Annual Research Report
Streptococcus mutansのデキストラナーゼ多型の分子機構
Project/Area Number |
09671867
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
後藤 延一 昭和大学, 歯学部, 教授 (10077175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 武 昭和大学, 歯学部, 助教授 (10159585)
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Keywords | デキストラナーゼ / 齲蝕原性細菌 / Streptococcus mutans / 分子多型 / ミュータンスレンサ球菌 |
Research Abstract |
我々は、これまでに齲蝕原性細菌のデキストラナーゼ(Dex)のアミノ酸一次構造の比較から、Dexはその分子内に約540アミノ酸残基からなる相同性の高い領域(保存領域)とその両端の相同性の低い可変領域から成ることを明らかにした。その結果から、保存領域はDex活性に深く関わっており、可変領域は分子多型に影響を与えていると推測した。 この推測から本年度は、Streptococcus mutansのdex遺伝子の全塩基配列をもとに、Dex分子のN末端およびC末端領域の欠損変異体を作成し、Dexの分子多型と活性に与える影響を調べた。Dex欠損変異体はPCR増幅により作成し、大腸菌内で発現させたDex変異体の分子多型と活性の有無はタンパク染色および活性染色により判定した。その結果、保存領域のC末端側の可変領域で作成した欠損変異体は、野生型のDexと同様に分子多型を形成した。その上、この変異体はいずれもDex活性を保存していた。また、この変異が保存領域内部におよんだC末端変異体では分子多型は形成されず、酵素活性も消失していた。一方、活性を有するC末端変異体の最小分子のN末端側の可変領域で作成した欠損変異体では、作成したいずれの変異体も分子多型および酵素活性を示さなかった。これらの結果は、Dexの分子多型の形成には保存領域のC末端側に位置する可変領域が関わっていることが明らかになった。また、Dexの低分子化と酵素活性の関係から、この保存領域内にはDexの活性中心や基質結合部位などの触媒部位の存在が示唆された。
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