2000 Fiscal Year Annual Research Report
S.mutansの新奇なグルカン結合蛋白質発現調節機構の解明
Project/Area Number |
09671869
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
佐藤 裕 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (70085827)
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Keywords | S.mutans / gbpC / グルカン / 凝集 / 2成分制御系 / gcrR / キシリトール / wall protein |
Research Abstract |
S.mutansは色々なストレス条件でグルカン依存性凝集を起こすが,この凝集に関与する実体分子としてのGbpCタンパク質の発現調節機構を調べてきた.そして昨年度までにGbpCタンパク質発現の調節遺伝子として,二成分制御系のレスポンスレギュレータホモローグであるgcrRを同定した(FEMS Microbiol.Lett.186:187,2000).gbpC遺伝子発現を容易にモニターするためにgbpC::lacZモニター株を構築した.二成分制御系のレスポンスレギュレータはリン酸化により調節を受けており,この機能を解析するため,リン酸化を受けると思われる53番目のアミノ酸であるアスパラギン酸を部位特異的変位導入法により,リン酸化されないアラニンその他のアミノ酸に変えたモニター変異株を,数種構築し,その解析結果から,GcrRタンパク質は脱リン酸化型が活性型であるネガティブレギュレータとしてGbpCタンパク質発現の調節をおこなっていることを明らかにした.またS.mutansのいくつか研究室保存菌株は冒頭で示したストレス条件等でグルカン依存性凝集を示さない株があり,これらの株のgcrR遺伝子欠失変異株もグルカン依存性凝集を全く示さなかった事を昨年度報告したが,このことは,GbpCタンパク質はS.mutansのプラークへの付着に対してあまり重要ではないのではないかという疑問がもたれた.しかし,本年度プラークからの新鮮分離株80株ほどについてグルカン依存性凝集を調べた結果,凝集を示さない株は1株もなかった.従って,GbpCタンパク質はS.mutansのプラークへの付着に対して重要であると考えた.また本年度GbpCタンパク質に対する抗体を作成してGbpCタンパク質自体の発現とその場所を調べた結果,このタンパク質は培養上清や菌体内にはほとんど存在せず,細胞壁画分に選択的に発現していることが分かった.また,グルカン依存性凝集を起こさないような条件でも,GbpCタンパク質自体の発現があることが分かった.また昨年度,S.mutansはキシリトール存在下で長く継代培養していると,構成的に強いグルカン依存性凝集を起こす株が現れること報告したが,これもgbpC:lacZモニター株を用いることにより,S.mutansの一部のポピュレーションにおいてgbpC遺伝子発現が転写レベルで著しく上昇していることを明らかにした(Eur.J.Oral Sci.108:538,2000).
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sato Y.: "Xylitol-induced elevated expression of the gbpC gene in a population of Streptococcus mutans cells."Eur J Oral Sci.. 108・8. 538-45 (2000)
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[Publications] Yamamoto Y: "Characterization of the Streptococcus mutans pyruvate formate-lyase (PFL)-activating enzyme gene by complementary reconstitution of the In vitro PFL-reactivating system."Infect Immun. 68・8. 4773-7 (2000)
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[Publications] Y Sato: "Construction of region-specific partial duplication mutants (merodiploid mutants) to identify the regulatory gene for the glucan-binding protein C gene in vivo in Streptococcus mutans"FEMS Microbiol Lett.. 186・2. 187-91 (2000)