1997 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性脂肪酸により誘導されるT細胞アポトーシスの発現機構の解析
Project/Area Number |
09671872
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
落合 智子 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20130594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 邦康 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50095444)
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Keywords | アポトーシス / T細胞 / 揮発性脂肪酸 / bcl-2 / p53 |
Research Abstract |
1、主要構成VFA(酪酸,プロピオン酸,イソ吉草酸)はいずれもマウス胸腺細胞、脾臓T細胞及びヒト末梢血リンパ球(PBMC)に対しアポトーシスを誘導し、その強度は酪酸>プロピオン酸>イソ吉草酸の順であった。また細胞のアポトーシス感受性は胸腺細胞>マウスT細胞>PBMCの順に高く、PBMCはVFAのアポトーシス誘導能に対しやや抵抗性を示した。 2、上記のT細胞群を主要構成VFAと共に培養後、経時的にbcl-2蛋白の局在をFACS解析した。いずれの細胞も培養初期(4〜6h)ではVFA無添加群と同様にbcl-2陽性細胞の比率は低下していた(1.7〜8.0%)が、培養時間の経過に伴い陽性細胞の増加が認められ、培養後期(16〜21h)では25〜45%の陽性率を示した。またwestern blotting及びRT-PCR解析においても経時的なbcl-2の発現増加が認められ、その強度は胸腺細胞>マウスT細胞>PBMCの順に強くVFAに対するアポトーシス感受性の大きさに比例していた。 3、RT-PCR解析により、p53遺伝子発現の有無を調べたところ、p53遺伝子はいずれのVFA刺激細胞においても、またいずれの培養時間においても、発現の増強は認められなかった。現在、p53ノックアウトマウスを用いてその影響を再度検討中である。 以上の結果から、アポトーシスを抑制する癌原遺伝子bcl-2はnormal systemic cellにおいては通常発現率が弱く、VFAで誘導されるT細胞アポトーシスへの関与は低いものと思われる。しかしながら、培養後期でのbcl-2陽性率は増加は、VFA誘導T細胞アポトーシスを制御としようとする細胞自身の恒常性の表現型とも受け取れ、現在bcl-2遺伝子を導入した細胞系を用いての実験を計画中である。一方、アポトーシスを促進する癌抑制遺伝子p53は、systemic cellにおいては発現率も、又VFAでの誘導率も共に低くVFAによるT細胞アポトーシスの誘導に本遺伝子の関与はほぼ無いと考えられる。
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