1998 Fiscal Year Annual Research Report
若年性歯周炎原因菌の呼吸鎖成分に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
09671874
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
古西 清司 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (20178289)
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Keywords | 呼吸鎖 / 生体エネルギー / 歯周病 |
Research Abstract |
若年性歯周炎原因菌のActinobacillus actinomycetemcomitansは通性嫌気性菌で、酸素の存在する環境においても生育可能である。当該研究では、本菌のエネルギー産生機構およびその生理的な役割を解明することを目標に研究を行っている。本研究で明らかにしたことは、以下の通りである。まずA.actinomycetemcomitansに存在する呼吸鎖をその活性によって同定し、そのうちいくつかの系は培養時の炭素源によって誘導されることをみいだした。そのうち、NADH-ubiquinone酸化還元酵素(NADH脱水素酵素)とubiquinol-oxygen酸化還元酵素(ubiquinol酸化酵素)の精製を行った。NADH脱水素酵素は分子量47,000のポリペプチドの3量体より成っており、NDH-2タイプに属することを明らかにした。またubiquinol酸化酵素は、分子量50,000と29,000の2個のポリペプチドより成っており、リン脂質によって活性化されるという内在性膜タンパク特有の性質を持っていた。サブユニット組成や酸化還元差スペクトルから本酸化酵素はチトクロムbdタイプに属することが明らかになった。そこで今までアミノ酸配列の知られている各種細菌のbdタイプ酸化酵素の保存されている領域の情報よりPCR用のプライマーを合成し、A.actinomycetemcomitansのDNAを鋳型としてPCRを行った。増幅されたDNAのシーケンスを決定した結果、Haemophilus influenzaeの酸化酵素に極めて類似していることがわかった。現在、本酵素の全塩基配列を決定中である。 さらに本菌の呼吸鎖を阻害する化合物について研究しており、3種類のタンニンが強い作用を持っていることを見いだした。その作用機序については現在検討中である。
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Research Products
(1 results)