1999 Fiscal Year Annual Research Report
新開発の宿主ベクター系を用いたP・gingivalis遺伝子の発現調節の解析
Project/Area Number |
09671876
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉本 尚 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 祐介 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20267511)
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20247315)
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Keywords | Porphyromonas / fimbriae / transformation / fim A |
Research Abstract |
歯周病原細菌のP.gingivalisの線毛は同菌が口腔内に定着するための重要因子であるにもかかわらず、機能や構造について未知の点が多い。本研究課題は、申請者が以前に補助金を受けて開発に成功した遺伝子伝達系により同菌に他株から遺伝子を伝達し、人工線毛を発現させることで、線毛形成のメカニズム、線毛の発現調節、構造と機能の関係などの解明を試みたものである。 その結果、研究期間内に次のような多くの興味ある知見が得られた。 1.線毛の基本構造ユニットをコードする遺伝子(fimA)を伝達することにより、電子顕微鏡で観察可能な線毛様構造物(リコンビナント線毛)が形成されることが判明した。 2.fimA遺伝子伝達による遺伝子産物の発現量には、受容菌株による差が見られた。もともと線毛を持たない株として知られるW50株が受容菌である場合、その発現量は最も少なかった。 3.リコンビナント線毛の形成量と遺伝子産物の発現量との間には比例関係が見られた。 4.外部からのfimA遺伝子の伝達とその発現は、宿主菌の本来のfimA遺伝子の発現の抑制をもたらし、その結果、リコンビナント線毛の産生が見られた菌では本来の線毛量が低下していた。 5.リコンビナント線毛が産生され、その結果天然の線毛量が低下すると、宿主菌の各種活性(同菌の自己凝集、他菌との共凝集、口腔上皮細胞等への菌の付着等)が一様に低下した。 これらの知見を総合すると、天然の線毛はfimA遺伝子の伝達で産生されるリコンビナント線毛に欠ける何らかの因子を欠き、その因子が付着性に強く係わるという事実が判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hisashi Yoshimoto: "Construction of a plasmid vector fortransformation of P.Gingivalis"FEMS Microbiology Letters. 152. 175-181 (1997)
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[Publications] 加藤 大輔: "Porphyromonas gingivalisにおける線毛遺伝子fimAによる形質転換に伴う性状の変化"神奈川歯学. 33. 149-162 (1999)
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[Publications] Yusuke Takahashi: "Transformation and expression of cloned fimA gone in Porphyromonas gingivalis"Infection and Immunity. 67. 2013-2018 (1999)