1997 Fiscal Year Annual Research Report
発癌性ヘテロサイクリックアミンと増殖因子の歯胚組織におよぼす影響
Project/Area Number |
09671882
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
亀山 洋一郎 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70113066)
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Keywords | 動物 / 歯胚 / 培養 / ヘテロサイクリックアミン / 細胞成長因子 |
Research Abstract |
本研究では、マウスの培養歯胚におよぼす発癌性ヘテロサイクリックアミンのTrp-P-2とMeIQx及び細胞増殖因子のTGF-αの影響を、A群(BGJb群)、B群(DMSO群)、C群(Trp-P-2群)、D群(MeIQx群)、E群(TGF-α群)、F群(Trp-P-2+TGF-α群)、G群(MeIQx+TGF-α群)の7群に分けて、病理組織学的および免疫組織化学的(BrdU法)に検索した。1.A群とB群。両群の歯胚の内エナメル上皮細胞はエナメル芽細胞に分化してエナメル基質を形成し、歯乳頭の細胞は象牙芽細胞に分化して象牙前質および象牙質を形成していた。2.C群とD群。A、B群と同じように、両群の歯胚ではエナメル芽細胞によるエナメル基質の形成や象牙芽細胞による象牙前質および象牙質の形成がみられた。3.E群。E群の歯胚では、A,B,C,D群の歯胚と違って、外エナメル上皮細胞は極めて著明に増殖し、エナメル髄の細胞と容積も著しく増加していた。内エナメル上皮細胞の分化はみられなかった。しかし、象牙前質の形成は認められた。4.F群とG群。A,B,C,D群と違って、両群の歯胚では外エナメル上皮細胞は非常に増殖し、エナメル髄の細胞と容積も非常に増加していた。また、内エナメル上皮細胞の分化も抑制されていた。象牙前質と象牙質の形成はみられた。しかし、E群と比較すると、F群とG群の歯胚における変化は少なかった。本研究の結果から、マウスの培養歯胚では細胞増殖因子のTGF-αは上皮細胞の分化を抑制するが、上皮細胞の増殖を著しく促進することが推測された。また、発癌性ヘテロサイクリックアミンのTrp-P-2とMeIQxは上皮細胞の増殖を抑制することが推測された。さらに、結果から、ヒトの口腔に生じる歯原性腫瘍や歯原性嚢胞の発生には細胞増殖因子のTGF-αが大きく関与していることが推察された。
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