1998 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体は痛覚と味覚情報の変換にどのように関与するのか?
Project/Area Number |
09671888
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐原 資謹 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (40206008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 嘉男 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10010026)
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Keywords | AMPA型グルタミン酸レセプター / アゴニスト / サブユニット / NMDA型グルタミン酸レセプター / メタボトロピック型グルタミン酸レセプター |
Research Abstract |
グルタミン酸レセプターの機能を明らかにすることを目的として実験を行い、以下の項目で進展を見た。 1) グルタミン酸レセプターの機能: ラット三叉神経節では、GluR1-4,5,6,7,KAl&2のすべてのグルタミン酸レセプターサブユニットが発現しているが、機能的には、GluR5/KA-2のheteromericなサブユニット構成をとっていることを明らかにした。引き続いて、何分子のアゴニストが結合するするとグルタミン酸レセプターが機能的に働くかを、生理・薬理的手法で検討した。AMPA型グルタミン酸レセプターでは、その立体構造から1分子のアゴニストがそれぞれのサブユニットに結合すると考えられているが、実験の結果、2分子のアゴニストの結合によりチャネルが開くことが明らかとなった(Clements et al.1998).グルタミン酸レセプターは4-5つのheteromericなサブユニットが集まって機能を発揮していることから、サブユニット間で負の協調作用を示す可能性が考えられる。中枢神経系の抑制性伝達物質であるGABAについても機能的に何分子のアゴニストが結合するかをGABA_Aレセプターで同様に検討し、2分子のアゴニストの結合によりチャネルが開くことを明らかにした(Jones et al.1998)。 2) 舌表面に発現しているグルタミン酸レセプターサブユニットの同定:先年度作成したmGluRサブタイプ(mGluR1,2/3,4,5,7)に特異的な抗体を用いて、ラット舌表面においてその分布を検索した。光顕では味細胞にmGluR4が強く発現していたが、電顕により詳細な分布を検討すると、mGluR4は、細胞内のER表面に存在し、細胞膜表面には存在しないことが明らかとなった。したがって、mGluR4自体が"うまみ"の受容体、あるいは、味細胞でシナプス前抑制を行う可能性は低いと考えられる。 3) 嗅覚系におけるグルタミン酸レセプターの役割: 嗅球においてもmGluR サブタイプに特異的な抗体を用いてその分布を検討し、サブタイプに特異的な分布パターンを認めた。一方、Slice標本を用いた生理学の実験により、主嗅球の情報処理では、グルタミン酸レセプターのNMDA型が重要な役割を果たしていることを明らかにした(Shoppa et al.1998)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Clements JD et al.: "Activation kinetics of AMPA channels reveal number of functional agonist binding sites." Journal of Neuroscience. 18. 119-127 (1998)
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[Publications] Schoppa NE et al.: "Dendrodendritic inhibition in the olfactory bulb is driven by N-methyl-D-aspartate receptors." Journal of Neuroscience. 18. 6790-6802 (1998)
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[Publications] Jones MV et al.: "Defining affinity with the GABAA receptor." Journal of Neuroscience. 18. 8590-8604 (1998)
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[Publications] 佐原資謹: "リガンド依存性イオンチャネル" 脳の科学. 増刊号(印刷中). (1999)