1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞におけるビオプリテンとNO産生調節系に関与する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
09671912
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Research Institution | Aichi-Gakuin University |
Principal Investigator |
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 史実 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70301629)
茂木 眞希雄 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (00174334)
新井 通次 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (20097538)
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Keywords | 骨芽細胞 / 一酸化窒素 / ビオプテリン / アポトーシス / サイトカイン |
Research Abstract |
前年度の研究において、炎症性サイトカイン(IL-β(100 U/ml)+TNF-α(l ng/ml)+IFN-γ(200 U/ml))が、骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)において、誘導型NO合成酵素(iNOS)と同様GTP-シクロヒドロラーゼ(GTP-CH)のmRNA発現を共誘導することを観察し、サイトカインによるiNOSおよびGTP-CHの両者の遺伝子発現にNF-χBおよびAP-1が関連していること、共発現した酵素の最終産物であるBH4およびNOが細胞増殖に関しては相反する作用を有しており、BH4(セピアプテリンから誘導)による増殖促進およびNO(S-nitroso-N-acetyl-D,L-penicillamineから生成)による増殖抑制を観察した。さらに、BH4はNOにより誘導される細胞内の核DNAの断片化を防御した。これらの結果から、iNOSおよびGTP-CH酵素の最終産物はアポトーシスに対して相反する作用を示し、結果として細胞増殖に対しても相反する生理学的役割を有することを示した。本年度の研究では、この様なBH4およびNOによる生理作用が、炎症性サイトカイン刺激後の細胞において如何なる動態をもたらしているか検討した。 その結果、サイトカインは細胞内のBH4およびNO量を共に用量依存的に増大させること、高用量においてはNO量の増大が著しいことを観察した。DNAフラグメンテーションを指標にしたアポトーシスおよび細胞増殖の抑制は高用量のサイトカイン刺激後に観察された。この高用量のサイトカインにより生理的に生じたアポトーシスは細胞内に発生したNOを消去する薬剤(Carboxy-PTIO)あるいは細胞内のBH4量を増加させる薬剤により抑制された。 以上の結果より、炎症性サイトカインが細胞増殖/アポトーシスに対して相反する生理作用を有する BH4およびNOのバランスを調節する作用を有しており、そのバランスの崩れにより、細胞増殖/アポトーシスなどに影響を及ぼしている可能性を示した。
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[Publications] Akifumi Togari et al.: "Coexpression of GTP cyclohydrolase I and inducible nitric oxide synthase mRNAs in mouse osteoblastic cells activated by proinflammatory cytokines." FEBS Letters. 428. 212-216 (1998)
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[Publications] Makio Mogi et al.: "Involvement of nitric oxide and biopterin in proinflammatory cytokine-induced apoptotic cell death in mouse osteoblastic cell line MC3T3-E1" Biochemical Pharmacology. in press. (1999)