1997 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼAによる破骨細胞カルシトニン感受性イオンチャネルの調節機構
Project/Area Number |
09671914
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (80224046)
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Keywords | 破骨細胞 / patch clamp法 / 内向き整流K^+電流 / カルシトニン / protein kinase A / cAMP / Forskolin / Rp-cAMP |
Research Abstract |
申請者はカルシトニン(CT)は破骨細胞に対する作用の初期段階として、K^+チャネルを抑制することを報告した。今回、CT受容体とK^+チャネルの相互関係に的を絞り、その中でもCT作用の細胞内情報伝達系として、最も有力なprotein kinase A(RKA)を介する調節系の関与について検討した。 実験には新生児ラットの長管骨より採集した成熟破骨細胞を用い、whole cell patch clamp法により膜電流を記録した。膜電位を変化させ発生する内向き整流特性K^+電流に対して、アデニル酸シクラーゼを直接活性化し細胞内のcAMP濃度を増加させるForskolinを10〜30μM投与すると、電流値は徐々に小さくなり10分後には約75%までに抑制された。また、膜透過性のcAMPであるdb-cAMPや8bromo-cAMP20〜500μMも同様に約80%程度までに抑制した。また、PKA阻害剤のRp-cAMPやPKIの存在下では、ForskolinやCTよるK電流抑制作用は認められなかった。 以上までのことより、破骨細胞には細胞内cAMPの上昇およびPKAの活性化によりK^+チャネルが抑制される制御系が働くことが明らかとなった。また、CTもこのPKA系を介して、K^+チャネルのK^+透過機能を抑制的に調節しているものと考えられた。従って、平成9年度の研究計画はほぼ順調に遂行されたと考えられ、今後はCT受容体やPKA系によるK^+チャネル調節の詳しい細胞内機序や骨吸収機能に対する影響などをさらに検討したいと考えている。 また、平成9年度5月の交付申請の直後、現在使用中の電極作製装置が故障し研究遂行に支障を来たした。そこで、大学側に変更届けを書類で提出し許可が得られたので、当初の申請備品(パッチクランプ用増幅器)を止む終えず変更し、ガラス電極作製装置を購入した。当初、購入予定していたパッチクランプ用増幅器に関しては、当教室で現在使用中の他のシステムのものをどうにか流用し、実験を遂行した。購入したマイクロピペットプラーは、patch clamp法におけるパッチ電極を作製する目的に使用した。
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