1998 Fiscal Year Annual Research Report
PCRを用いた唾液腺腫瘍の新しい診断法の開発と培養幹細胞の腺房細胞への分化誘導
Project/Area Number |
09671919
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大倉 正也 大阪大学, 歯学部, 講師 (10281130)
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Keywords | 唾液腺 / 分化誘導 / 細胞生物学 / 唾液腺腫瘍 / アミラーゼ |
Research Abstract |
平成9年度の研究で、正常唾液腺、唾液腺腫瘍の培養細胞と組織におけるアミラーゼ(AMY)とα-smooth-muscle-actin(SMA)のmRNA発現は、悪性度と一致して減弱する傾向を認めたが、MUC-7の発現は組織では認められるものの、培養細胞では正常細胞にかかわらず、認められなかった。そこで、プライマーを異なった位置に設定しなおした。その結果、正常細胞と多形性腺腫細胞ではMUC-7の発現を認め、HSG,ACCでは認められなかった。この結果、AMY、SMA、MUC-7とも腫瘍の悪性度反比例した発現を得られたので、さるjournalに投稿したところ、RT-PCRによるmRNA発現を比較することに対する疑問と腫瘍組織における発現を示せと指摘された。しかし、唾液腺腫瘍組織のRNAを所有していない。そこで再度プライマーを設定しなおして、double-primerによる競合的なRT-PCRとRNA-protection-assayを試みた。特に温度設定が難しく、同一条件で再現性のあるデータが得られたわけではないが、傾向は今までと同じ結果であった。しかし、再現性(特にMUCの発現が出たり、出なかった)に問題があるため、条件を変えてトライしたが、腫瘍組織のRNAに限りがあり、いまだ完全な条件を得られていない。現在は培養細胞に限って行っている。唾液腺stem-cellの腺房細胞への分化については、形態的に筋上皮細胞と思われた細胞が電顕と細胞骨格の発現の結果、腺房細胞であった。さて、分化の条件であるが、まず細胞が血清を必要とすることと、細胞密度がある程度高いことと、さらに1週間以上の時間が必要であること、また、腺房細胞と幹細胞の中間的な段階があることが明らかになった。時間の問題は単にあるシグナルが連鎖的に分化を誘導するのではなく、複雑にからみあったシグナルがあることを意味している。現在、その中での重要な誘導物質を検索中である。
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