1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性菌特異的な抗組換え蛋白質抗体による好中球機能の賦活とTh1型免疫の誘導
Project/Area Number |
09671935
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
斉藤 重野 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60072394)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 好中球 / 貪食 / オプソニン化 / Th1型免疫の誘導 |
Research Abstract |
歯周病免疫療法開発の一端として、受動免疫抗体による好中球機能への賦活効果を図った。好中球による細菌貪食はオプソニンの存在下に促進されるが、オプソニンとして有効なのは菌体表層抗原に対する抗体である。本研究では、Porphyromonas gingivalisの分子量40,000の外膜タンパク質に着目し、組換えタンパク質に対するウサギ抗血清(r40-kDa OMP Ab)による好中球機能の賦活効果をin vitroで研究した。 好中球機能を有する細胞モデルの確立: ヒト末梢血から好中球を分取するには、多量の新鮮血を要すること、純度高い好中球標品を得るのに数時間を要すること、個人によって好中球機能に差があり再現性に不安があることなど、従来の方法では問題があった。そこで、継代培養可能なヒト由来の細胞株HL-60 cell lineをDMSOにて処理し、成熟な好中球機能を有するin vitroモデル系を確立した。 r40-kDa OMP Abによるオプソニン効果ならびにTh1型免疫の誘導: 自ら殺菌活性を有しない低濃度にて、r40-kDa OMP Abは本菌をオプソニン化し、好中球による本菌貪食能を補体の存在下に増強した。貪食された本菌は好中球細胞内で殺菌・消化され、debrisとなって培養液中に排泄された。研究結果は、好中球による生体第一次防御機構を賦活したので、r40-kDa OMP Abが受動免疫抗体となりうる可能性を提供した。機能を賦活された好中球は1FN-γを産生した。ついで、IFN-γによって、活性化されたMφはIL-1を産生した。しかし、IL-1は本来、骨吸収を促進し、骨形成を抑制するサイトカインである。Th-1型免疫の誘導は生体にむしろ有害となる恐れが生じた。そこで、Th2クローンの作成を試み、クローンが産生するサイトカインを介した受動免疫療法の可能性を追求する方向に本研究を転向した。
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