1998 Fiscal Year Annual Research Report
顎下腺化学発癌における遺伝子発現と細胞接着因子の変化
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09671937
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
住友 伸一郎 朝日大学, 歯学部, 講師 (50216496)
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Keywords | ラット / 顎下腺 / 化学発癌 / FGF / c-erbB-2 / 免疫組織化学 / RT-PCR |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ラット顎下腺腺体内に1%DMBA/オリーブ油溶液を含ませたスポンジ片を埋入し作成した顎下腺癌を用い、その発癌過程における増殖因子とそのレセプター、プロト癌遺伝子の発現および癌抑制遺伝子の変化を免疫組織化学的方法および分子生物学的手法を用いて検索している。 bFGFとFGF-receptor(FGFR)の関与について免疫組織化学的に検討した結果、bFGF、FGFRはともに正常ラット顎下腺の導管細胞に陽性を示し、発癌過程において認められる増殖した角化重層扁平上皮、導管様構造物においても陽性で、12週以降に形成される腺扁平上皮癌についても陽性であった。bFGFとFGFRが同一の組織に存在することから、FGFはオートクリンあるいはパラクリンの分泌機構により腫瘍増殖に関係する可能性が示唆されることを、Oral oncol,Eur.J.Cancerに報告した。 c-erbB-2プロト癌遺伝子の発癌過程への関与について検索した結果、c-erbB-2 mRNAのRT-PCR産物は発癌6週では60%に、12週では全例に認められたが、正常顎下腺および発癌3週の試料では認められなかった。免疫組織化学的検索において、正常顎下腺は一般にP185陰性を示したが、一部の導管系上皮で陽性所見を認める場合もあった。発癌3週の標本ではスポンジ周囲に散在する小さな上皮塊や導管様構造にしばしばP185陽性所見を認めた。発癌6週では増殖した角化重層扁平上皮の鯨細胞層相当部に陽性を示した。発癌12週では全ての標本で腺扁平上皮癌が形成され、P185はほとんどの腫瘍細胞に陽性を示した。これらの結果よりc-erbB-2プロト癌遺伝子の過剰発現が発癌の因子となることが示唆され、The third China-Japan Joint Conference on Oral Biology(Jiamus 1998/9-12)で報告した。
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