1999 Fiscal Year Annual Research Report
顎下腺化学発癌における遺伝子発現と細胞接着因子の変化
Project/Area Number |
09671937
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
住友 伸一郎 朝日大学, 歯学部, 講師 (50216496)
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Keywords | ラット / 顎下腺 / 化学発癌 / カルポニン / c-erbB-2 / RT-PCR / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
ラット顎下腺腺体内に1%DMBA/オリーブ油溶液を含ませたスポンジ片を埋入して作成した顎下腺癌を用い、これまでに検索した導管系マーカー、細胞増殖マーカーに加え、筋上皮細胞のマーカーであるカルポニンを用いて顎下腺発癌過程を検索した結果、正常組織における筋上皮細胞の分布は腺房部と介在部導管周囲に限られており、発癌後4〜8週の組織では角化上皮部には陰性であるが、小導管様構造周囲に陽性を示し、12週以降の組織では扁平上皮様構造を示す部分では陰性であるが不規則な腺管様構造が索状に増殖する部分では腺管様構造物の基底側の細胞に陽性を示した。これらの所見より、発癌剤投与後の増殖細胞は全ての導管系に認められるものの、筋上皮細胞においては増殖能の亢進はないようであるが、腫瘍細胞が腺管様構造を形成する際には筋上皮様腫瘍細胞がその最外層に分化、誘導され、扁平上皮様の構造をとる場合には筋上皮様腫瘍細胞の分化・誘導はなく、筋上皮腫瘍細胞の存在が唾液腺腫瘍の組織形態に深く関与していると考えられた。また、導管様構造を形成する部分は、介在部導管細胞が腫瘍化した可能性が高いと考えられた。 c-erbB-2プロト癌遺伝子の発癌過程への関与について検索した結果、c-erbB-2 mRNAのRT-PCR産物は発癌6週では60%に、12週では全例に認められたが、正常顎下腺および発癌3週の試料では認められなかった。免疫組織化学的検索において、正常顎下腺および発癌3週の標本では一般にP185陰性を示した。発癌6週では増殖した角化重層扁平上皮の棘細胞層相当部に陽性を示した。発癌12週ではP185はほとんどの腫瘍細胞に陽性を示した。これらの結果よりc-erbB-2プロト癌遺伝子の過剰発現が発癌の因子となることが示唆され、日本口腔科学会雑誌に報告した。
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