1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671950
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 伸也 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70239490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠本 豊 大阪大学, 歯学部, 助手 (40252689)
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
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Keywords | 歯周病 / 歯周組織再生 / 増殖因子 / IGF-I / IGF-I前駆体 / ヘパリン親和性IGF-I様増殖因子 / 歯根膜由来細胞 / 不死化細胞株 |
Research Abstract |
申請者らは、歯周組織再生を促進すると期待される、歯周組織由来細胞が産生するヘパリン親和性IGF-I様増殖因子の分子性状を解析し、IGF-IやIGF-I前駆体とその性状、活性を比較してその特性を明らかにする目的で本実験を企画し実施した。ヒト歯根膜由来細胞の細胞層から中等度ヘパリン親和性分画を粗精製し、マウス抗ヒトIGF-Iモノクロナール抗体で認識される蛋白質をイムノブロット法で検出したが、その量は非常に微量であった。そこで、本年度はヒト歯根膜由来細胞が産生する中等度ヘパリン親和性IGF-I様増殖因子がIGF-Iの前駆体として細胞質内あるいは細胞表面上に存在している可能性から検討することにした。まず、ジーンパルサーを用いIGF-IA(IGF-I precursor)遺伝子をNeo耐性遺伝子と共にヒト歯根膜由来細胞およびマウス歯根膜由来細胞にそれぞれ導入し、G418を含む培地で選択することによりIGF-IAを強制発現するヒトおよびマウス歯根膜由来細胞の細胞株を得た。これらの細胞株はPCRおよびNotthern blot分析により、新株よりも明らかに高いレベルのIGF-IA geneおよびmRNAを発現していることが確認された。このIGF-IA発現株は親株に比して異なった増殖反応性を有しており、塩基性線維芽細胞増殖因子に対しては高感受性を、ウシ胎児血清に対しては低感受性を示した。また、より容易にかつ十分量の増殖因子を細胞層から得るために、Human papilloma virus type16のE6E7 geneを遺伝子導入することにより不死化細胞株の樹立を現在試みている。今後は、発現されたIGF-IAの蛋白質の生化学的分析をさらに推進し、ヒト歯根膜由来細胞が元来発現しているヘパリン親和性IGF-I様増殖因子との異同を確認し、蛋白質レベルでの発現様式を検討する。さらに、発現されたIGF-IAや元来発現しているヘパリン親和性IGF-I様増殖因子が歯根膜由来細胞の増殖分化に及ぼす影響も合わせて検討したい。
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