1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671959
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柳口 嘉治郎 長崎大学, 歯学部, 助手 (50264255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 毅 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90244079)
川口 政廣 長崎大学, 歯学部, 助手 (40084248)
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Keywords | キチン綿 / 脱アセチル化 / リゾチーム |
Research Abstract |
平成9年度は臨床において難治性根管治療の際に、根管貼薬として脱アセチル化度35%のキチン綿(脱アセチル化度はフーリエ変換赤外分光分析にて確認)を応用し、根管内に貼付したキチン綿に含有される総タンパク濃度と非免疫性抗菌物質であるリゾチーム濃度との関連性を検討した。また、臨床経過との関連性についても調査した。その結果、臨床症状が改善されるにつれてリゾチーム濃度の減少する傾向が見られた。 このような臨床研究の成果を踏まえて、平成10年度は根尖病変の治癒過程におけるリゾチームの関与を実際に証明するため、ラットを用いた動物実験を行った。キチン綿を填入したラット臼歯根尖部(約1mm)を同種ラットの下顎骨の移植ののち、歯髄の創傷治癒経過を参考として3日後に灌流固定によって屠殺した。移植した根尖チップは周囲の歯槽骨とともに一塊として切り出した後、通法に従って、脱水、エポキシレジンに包埋した。根尖周囲の歯質、歯槽骨は可及的にトリミングを行ったのち、厚さ約1μmの準超薄切片を作成した。切片のトルイジンブルー染色を施し、光学顕微鏡にて観察した。術後3日目において、移植片周囲の炎症反応は消失しており、キチン綿の組織親和性が良好であることが判明し、また根管内のキチン綿の線維間には細胞成分の進入も明らかに認められた。 以上のような2年間の研究結果から、キチン綿の生体材料としての有用性をさらに検討する必要性が生じている。すなわち、根管内キチン綿の溶解(崩壊)過程と、リゾチーム活性陽性細胞の出現時期、その分布を解明することである。そこで現在、抗リゾチーム抗体を用いた、免疫電子顕微鏡的観察・検討のための準備を進めている。
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