1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄細胞におけるIL-6依存性PA-plasmin系活性を促進する因子の検索
Project/Area Number |
09671966
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松島 潔 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (00157306)
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Keywords | 歯髄細胞 / interleukin-6 / plasminogen-activator / plasmin |
Research Abstract |
歯髄炎の特徴である不可逆的な進行の原因は歯髄組織全体が硬組織に囲まれているという形態的な理由からのみ言われており、細胞機能レベルでの報告は少ない。歯髄炎の不可逆性な進行過程の一部を解明する目的で、歯肉細胞と歯髄細胞とで炎症の進行について細胞機能レベルで検討を行っている。炎症時に発現する炎症性サイトカインの一つであるIL-6を同一個体から得られた歯髄および歯肉細胞に作用させ、培養液中に細胞から放出された炎症時に活性が高まるcollagenaseの活性を高めるplasminogen activator(PA)の活性を比較した。その結果、歯髄細胞ではPA活性がコントロール(IL-6無作用)に対して有意に上昇したが、歯肉細胞でのPA活性上昇は認められなかった。IL-6と可溶性のIL-6receptorを同時に歯肉細胞に作用させても、PA活性に変化はみられなかった。これらの現象をRT-PCRを用いて遺伝子発現レベルでも観察し、歯髄細胞においてIL-6によるtPAの遺伝子発現の増強が確認された。そこで、IL-6を作用させた歯髄細胞の培養上清中にIL-6依存性にPA活性促進因子が放出されているものと考え、歯肉細胞をIL-6を作用させた歯髄細胞の培養上清で培養したところ、その培養上清中に歯肉細胞によるPA活性の上昇が確認された。さらにIL-6依存性PA活性促進因子を同定するために、IL-6を作用させた歯髄細胞の培養上清をHPLCにて24分画に分離し、各々を歯肉細胞に作用させた。その結果、12.4-kDa以下の16、18、19、21、22分画において歯肉細胞のPA活性を上昇させる因子が存在していることが明らかになった。以上の結果から、IL-6を作用させた歯髄細胞の上清中にはPA活性を上昇させる因子が存在し、歯髄炎の特徴を示す因子の一つとしての可能性が示唆された。
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