1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄細胞におけるIL-6依存性PA-plasmin系活性を促進する因子の検素
Project/Area Number |
09671966
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松島 潔 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (00157306)
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Keywords | 歯髄細胞 / 炎症性サイトカイン / IL-6 / plasminogen activator |
Research Abstract |
歯髄炎の特徴である不可逆的な進行の原因は歯髄組織全体が硬組織に囲まれているという形態的な理由からのみ言われており、細胞機能レベルでの報告は少ない。歯髄炎の不可逆性な進行過程の一部を解明する目的で、歯肉細胞と歯髄細胞とで炎症の進行について細胞機能レベルで検討を行っている。昨年度のIL-6を含む培地で培養された歯髄細胞から放出されるIL-6依存性にplasminogen activator(PA)活性促進因子の検索を行った。その結果12kDaの分画に存在することが判明した。IL-6を作用させた歯肉および歯髄細胞の培養上清を2次元電気泳動法でその因子の解明をはかったが、違いを認めるまでには至らなかった。。そこで、歯髄細胞の細胞機能的な特徴を見いだす目的で、歯肉細胞と歯髄細胞で、IL-6以外の炎症性サイトカインについて、PA/plasmin系活性の影響について観察を行った。IL一1b(100pg/ml),TNF-a(1ng/ml),IL-8(1ng/ml)を歯肉および歯髄細胞に作用させPA活性を測定した。その結果、TNF-aを作用させた歯肉細胞ではcontroleに比較して、約2から3倍の活性の上昇が認められたが、歯髄細胞では5から6倍の顕著な活性の上昇が認められた。RT-PCR法を用いて、遺伝子発現レベルで観察した結果からもtPAmRNAの明らかな上昇が認められた。以上の結果から、推測すると歯髄細胞と歯肉細胞におけるIL-6やTNF-aのレセプターから転写されるまでのシグナル伝達系のどこかでのリン酸化等の相違があるものと思われる。今後、両細胞のリン酸化の動態を検討する必要があると思われる。
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