1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671975
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
吉田 匡宏 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (70158468)
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Keywords | 難治性根尖性歯周炎 / チェアーサイド嫌気培養システム / 偏性嫌気性菌 / 通性嫌気性菌 / 真菌 |
Research Abstract |
約40症例の難治性根尖性歯周炎を対象に、各治療時における臨床症状を記録し、根管から細菌検査用試料を採取、「チェアーサイド嫌気培養システム」を用いて細菌検査した。培地上に見とめられたコロニーを採取し、1000株以上をグラム染色後、-80℃で凍結保存した。 難治性根尖性歯周炎症例は多岐にわたり、疼痛と排膿が止らない症例、瘻孔形成を繰り返す症例、根管充填後腫脹を生じた症例および打診痛、違和感が消失しない症例などを含んでいる。初回細菌検査試料の採取時は、難治性根尖性歯周炎として依頼された症例が多いことから、ほとんどの症例では根管の機械的・化学的清掃が終了して以降とされた。しかし、いくつかの症例では、急性症状再発時に採取することができた。初回細菌検査の結果、ほとんどの症例からは通性嫌気性グラム陽性菌が優勢に検出された。球菌と桿菌の比率は相半ばしていた。また、10%以上の症例から真菌が優勢に分離された。腫脹を繰り返した症例や排膿が止らない症例からは、偏性嫌気性グラム陰性桿菌を含む偏性嫌気性菌が認められた。初回細菌検査の結果はYoshidaらの報告と同様に、試料採取時の臨床症状とよく相関していた。しかし治療が進むとともに細菌種、細菌量は減少する傾向を示し、通性嫌気性グラム陽性球菌、桿菌あるいは真菌が長期に亘り残留することが多かった。以上のことから、難治性根尖性歯周炎では、増殖した細菌種の病原性により臨床症状は修飾され様々な症状を呈するものの、難治性根尖性歯周炎を難治性感染症たらしめているのは、残留しやすい通性嫌気性グラム陽性球菌、桿菌あるいは真菌の存在である可能性が示唆された。今後、保存菌株を同定し、難治性根尖性歯周炎の発生に関与する細菌を明確にする予定である。
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