1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671975
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
吉田 匡宏 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (70158468)
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Keywords | 難治性根尖性歯周炎 / チェアーサイド嫌気培養システム / 偏性嫌気性菌 / 通性嫌気性菌 / 真菌 |
Research Abstract |
難治性根尖性歯周炎の定義は明確ではない。私たちは歯根破折や辺縁性歯周病変など根管以外からの感染は無いが、根管の機械的・化学的清掃、洗浄、根管貼薬などを含む通常の根管治療では細菌を排除できない難治性感染症であると考えている。 今回、根管治療回数が5回を越えて施されたものの臨床症状の改善が認められない症例、あるいは過去に2回以上根管充填を施されたにもかかわらず根尖性歯周炎を再発した42症例を対象とし、細菌学的研究を行った。 難治性根尖性歯周炎の臨床像は様々であり、疼痛と排膿が止らない症例、瘻孔形成を繰り返す症例および打診痛、違和感が消失しない症例などを含んでいる。 難治性根尖性歯周炎症例の内、打診痛、違和感を主訴とする症例では通性嫌気性グラム陽性菌が優勢に検出された。 また、腫脹を繰り返した症例や排膿が止らない症例では偏性嫌気性菌が優性であった。このような臨床症状と分離細菌との相関はYoshidaらの根尖性歯周炎を伴う既根管充填歯とよく一致しており、分離菌では通常ほとんど検出されない真菌やStaphylococcusが10%以上の症例から優勢に分離されたこと以外は特徴的ではなかった。 しかし、試みに根管治療ごとに細菌検査を行ったところ、治療が進むとともに偏性嫌気性菌は速やかに消失し、特定の通性嫌気性グラム陽性球菌、桿菌あるいは真菌が長期に亘り残留することが多かった。このことから根尖性歯周炎が難治化するには、偏性嫌気性菌などよりも、これら特定の通性嫌気性グラム陽性球菌、桿菌あるいは真菌の存在が大きな役割を果たしている可能性が示唆された。 残留細菌に対し詳細に検討する必要性があると考え、当初予定の初回採取した保存菌株に加えて治療ごとに採取した分離菌に対してもAPI-systemで同定している。このことにより、難治性根尖性歯周炎の発生に関与する細菌をより明確にできると考えている。
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