1997 Fiscal Year Annual Research Report
意図的に残留させた歯頚部齲蝕象牙質に対するフッ素徐放性セメントの有用性
Project/Area Number |
09671976
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
本田 公亮 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50199569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 明彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10028813)
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Keywords | 歯頚部齲蝕 / 軟化象牙質 / 人工軟化象牙質 / 歯面清掃器 / フッ素徐放性セメント / 研削 / 再石灰化 |
Research Abstract |
隣接面歯頚部軟化象牙質の表層部のみを選択的に除去する方法として,歯面清掃研磨器を用いた.即ち,炭酸水素ナトリウムの微粉末を水と混合して齲窩に噴射して軟化象牙質を研削する方法で,ヒト抜去歯歯頚部齲蝕象牙質に1分間使用したところ,ほぼ健全象牙質の硬さまで軟化象牙質を削除できることがわかった.次に実際の臨床を想定した研削条件(研削時間,研削方向,研削材の噴射量および噴射圧など)を設定し,軟化象牙質を選択的に除去する上での指標について検討した.本実験では,試料間での差を少なくするために健全歯に人工軟化象牙質を作成し,試料として用いた.人工軟化象牙質は,矯正治療時に便宜抜歯された健全ヒト上顎小臼歯の隣接面歯頚部歯面(2×2mm)に,40%の正燐酸ゲル(パナビア用エッチング剤Vタイプ,クラレ社)を含浸させたスポンジを設置し,自家製人工保存液(3mMのKH_2PO_4および3mMのCaCl_2)20ml中に,温度37℃,pH4.0の状態で35日間浸漬保存することで試作した.この方法は,オリジナルなものであったが,象牙質の軟化パターンが自然齲蝕に極めて近似した軟化象牙質の作成が可能であった.これらの人工軟化象牙質を用いて研削実験を行ったところ,歯面清掃研磨器の噴射粉量(1.2g/min.)を1/2に制限し,軟化象牙質面に対して45度の方向から30秒間の研削を行うことで,エキスカベータ使用時とほぼ同程度の軟化象牙質を選択的に除去できることが分かった(本実験結果は,第107回日本歯科保存学会-福岡にて報告した.).また歯面清掃研磨器で研削された象牙質面は,他の切削器具を用いた場合と異なってスメア-層の存在が認められなかったため,精密万能試験機(オートグラフAGS-5KNG,島津製作所)を用い,充填材料との接着性について現在検討中である.
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