1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜流動性を指標とした歯科材料の毒性試験法の開発
Project/Area Number |
09671984
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
本郷 敏雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (60142444)
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Keywords | ヒト歯根膜 / 蛍光異方性 / 膜流動性 / レジンモノマー / 細胞毒性 |
Research Abstract |
歯科材料による細胞毒性の一次標的部位は細胞膜にあると考えられるが,この一次標的部位である細胞膜と歯科用レジン材料との動的相互作用に関する報告も殆どないのが現状である.歯科用レジン材料の構成成分の多くは脂溶性が高いのでそれら材料の為害作用の一次標的部位である細胞膜との相互作用が考えられるので,歯科用レジンモノマーによる細胞膜脂質の微環境の状態変化とニュートラルレッド(NR)法による細胞毒性試験法との相関について検討した.ヒト臼歯歯根膜由来のPL細胞を用い,NR法による細胞毒性試験から50%の細胞に毒性を発現させる濃度はモノマーを3時間処理した場合にはtrimethylolpropane trimethacrylate(TMPT)≧Bis-GMA>1,4-buthane diol dimethacrylate(BD)>1,3-buthylene glycol dimethacrylate(BG)>ethylene glycol dimethacrylate(EGD)>triethyleneglycol dimethacrylate(TEGDMA)>methyl methacrylate(MMA)の順に一方,モノマーを24時間処理した場合ではBis-GMA>TMPT>EGD≧BD>BG>MMA>TEGDMAの順に毒性が強く発現した.1-(4-trimethylaminophenyl)-6-phenyl-1,3,5-hexatrieneで細胞を蛍光ラベル化した後,蛍光異方性及び偏光度を自動偏光解消測定装置を装着した分光蛍光光度計(FP-777H,日本分光)で測定し,レジンモノマー添加後のそれらの変化を検討したところ,その変化はBis-GMA>EGD>TMPT>BG=MMA≧BD>TEGDMAの順に大きかった.この結果と歯科用レジンモノマーを24時間処理した細胞毒性試験法から得られた結果との間に非常によい相関性がみとめれられた.
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[Publications] 本郷敏雄: "膜脂質流動性を指標とした歯科用レジン材料の細胞毒性試験" 歯科材料・器械. 16(SI29). 102 (1997)
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[Publications] 本郷敏雄: "歯科用レジンモノマーによるヒト歯根膜由来細胞膜脂質流動性に及ぼす影響" 日本薬理学雑誌. 110(4). 80P (1997)
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[Publications] 本郷敏雄: "エタノールによるアクリルレジン硬化体からの溶出物の同定" 歯科材料・器械. 16(SI30). 86 (1997)