1998 Fiscal Year Annual Research Report
持続的圧力による義歯床下骨組織の吸収量に対する糖尿病の影響
Project/Area Number |
09671987
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 隆志 岡山大学, 歯学部, 教授 (80034172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 哲也 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60238160)
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Keywords | 糖尿病 / 臼歯部口蓋組織 / 組織計測 / 骨吸収量 / ラット |
Research Abstract |
義歯床下骨組織の動態に対して糖尿病が及ぼす影響に関する検討は,十分に行われているとは言い難い.本研究は,糖尿病誘発ラットを対象として,義歯床を介して加えられる持続的圧力によって惹起される義歯床下骨組織の吸収動態に対して糖尿病が及ぼす影響について,未脱灰研磨標本を対象として組織計測的に検討することを目的とした. 実験動物としては、ストレプトゾトシンによって糖尿病を誘発したウイスター系雄性ラット250匹(1群50匹×5群)を用いた.加圧群3群に対しては,22週齢時に義歯床下組織に対して1.0,10.0または20.0kPaの持続的圧力を加える義歯床を1群ずつの動物に装着した.被覆群1群に対しては,22週齢時に義歯床下組織を無圧の状態で被覆する義歯床を装着した.義歯非装着群1群は無処置のまま経過させた.骨組織の蛍光ラベリングを,義歯床装着12週前,義歯床装着時および義歯床装着の4日後以降1週間隔で行った.義歯床装着1週後以降毎週,各群の5匹ずつから採取した口蓋組織は,Villanuevaの骨染色ののち,約50μmの未脱灰研磨標本とした.組織計測専用の画像解析システムを用いて,分画吸収面率,活性吸収面率を求めた.また,骨吸収量は,予め施した骨組織の蛍光ラベリング線に依って,被覆群において義歯床装着12週前から義歯床装着時までに形成された形成骨量と,骨吸収の認められた実験群における上記形成骨量の各観察期間における残量との差として求めた. その結果,骨吸収の惹起された10.0および20.0kPa加圧群おける骨吸収は,それぞれ3週後および4週後まで認められ,骨吸収の総量は60±16μmおよび87±17μmであった.本研究において得られた結果と,本研究と同一条件下において正常ラットが示したこれらの値とを比較した結果,糖尿病は骨吸収の発現期間を延長し,骨吸収量を増加させることが示唆された.
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