1997 Fiscal Year Annual Research Report
急速アパタイト転換型リン酸カルシウムセメントの開発
Project/Area Number |
09671993
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅岡 憲三 徳島大学, 歯学部, 教授 (50014189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 有希子 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60294708)
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Keywords | リン酸カルシウムセメント / 骨補填材 / ハイドロキシアパタイト / α型リン酸3カルシウム / 練和液 / 結晶析出 / 濃度 / Ca / P比 |
Research Abstract |
骨補填材としてのリン酸カルシウムセメントは硬化後、直ちにハイドロキシアパタイト(HAP)へ転換するものが望ましい。そこで、基材粉末に水硬性のα型リン酸3カルシウム(αTCP)を用いた迅速HAP転換型リン酸カルシウムセメントの試作を試みた。 αTCP粉末を水で練和した硬化体の結晶相は1週後でもHAPに転換しないが、塩化カルシウムとリン酸水素ナトリウムの両水溶液を練和液として同時に使用することにより練和後24時間で完全にHAPへ転換することがわかった。その両水溶液の濃度、Ca/P比、粉液比および練和方法等を変化させることにより、HAPへの転換速度と転換機構および性質等に及ぼす練和液の影響を検討した。その結果から硬化の初期段階においてリン酸水素カルシウム2水素(DCPD)が生成し易い練和条件はHAPへの転換速度を著しく遅延させることがわかった。この理由はDCPDが比較的安定相であるため、溶解しにくいことが原因と考えられた。これに対し、練和時または硬化初期にリン酸8カルシウム(OCP)を生成する練和条件はHAPへの転換を促進することがわかった。また。転換に効果的な条件で練和した硬化体のHAPは板状結晶であることから、OCPを経由したHAP結晶であることが確認された。練和液の1つであるリン酸水素ナトリウムにはリン酸2水素ナトリウムの使用が他の物より効果的であった。これはαTCPの初期溶解時のph上昇と関連性があるものと推察された。硬化時間は両水溶液の濃度を高くするにつれて、またCa/P比を低下させるにつれて短くなることが確認された。硬化速度とHAPへの転換速度とに明確な関連性を見い出すことはできなかった。セメント硬化体(練和後1週)の組織親和性(In vitro)は非常に良好であることを確認した。さらに硬化初期の親和性を他のリン酸カルシウムセメントの場合と比較検討する予定である。
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