1999 Fiscal Year Annual Research Report
急速アパタイト転換型リン酸カルシウムセメントの開発
Project/Area Number |
09671993
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅岡 憲三 徳島大学, 歯学部, 教授 (50014189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 有希子 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60294708)
今 政幸 徳島大学, 歯学部, 助手 (80116813)
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Keywords | リン酸カルシウムセメント / 骨補墳材 / リン酸三カルシウム / ハイドロキシアパタイト / 生体親和性 / 結晶析出 / 練和液 / 機械的性質 |
Research Abstract |
本研究は骨伝導能を有するリン酸カルシウムセメントの生体親和性をさらに向上させるため、迅速にハイドロキシアパタイト(HAP)へ転換することが可能なリン酸カルシウムセメントの開発を目的としている。平成9年度と10年度はαリン酸三カルシウム(αTCP)を基材粉末とするリン酸カルシウムセメントのHAPへの転換に対する最適な練和液の種類および濃度等について調べ、転換機構の解明を検討した。さらにHAPへ迅速に転換する系のセメントは硬化初期段階から、組織親和性に優れることを動物埋入試験で明らかにした。本年度はセメント中のαTCP残存量と生体親和性の関係を検討した。その結果、ラットを用いたセメント硬化体の皮下組織埋入試験では、試験片埋入1週後の組織において迅速HAP転換型セメント(HAP95%以上)は良好な組織親和性を有するが、1週間後でもαTCPが約50%残存するセメント硬化体は炎症細胞の出現などがみられ、明らかに差違を示した。しかし、αTCPが約25%残存(1週後)する硬化体では、炎症細胞は確認されなかった。以上のことから、セメント結晶相に存在する少量のαTCPは生体組織に対して問題がないことを明らかにした。さらに前年度に充分な成果が得られなかった練和液の改良、すなわち、2液タイプから1液タイプへの転換を再検討した結果、練和液濃度の調整により可能であることを明らかにした。つまり粉末部に少量の塩化カルシウムを導入し、1液タイプの練和液として0.1mol/L程度のリン酸二水素ナトリウムを使用することによりリン酸水素カルシウム2水和物の生成がなく、24時間後には約75%のαTCPがHAPへ転換できることがわかった。しかしながら、低濃度の練和液は硬化時間を著しく遅延させた。これらの詳細については然るべき学術誌に公表準備中である。
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