1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用チタン系修復材およびインプラント材のフッ素含有環境における腐食挙動
Project/Area Number |
09671996
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中川 雅晴 九州大学, 歯学部, 助手 (80172279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 孝信 九州大学, 歯学部, 講師 (10150468)
松家 茂樹 九州大学, 歯学部, 助教授 (00108755)
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Keywords | チタン / チタン合金 / 腐食 / フッ素 / インプラント |
Research Abstract |
チタンは表面に安定な酸化膜を生成して不動態化し、きわめて優れた化学的安定性(耐食性)、生体適合性を発現する。このため多くの生体用金属材料として用いられており、歯科領域においてもインプラントをはじめ、種々の金属歯科修復物への応用がめざましい。しかしながら、歯科臨床においては齲触予防を目的としたフッ素を含有する歯面塗布剤、洗口剤、歯磨剤などが多く利用され、これに含まれるフッ素によってチタンが腐食することが問題となっている。 本研究では、現在歯科臨床に使用されている純TiおよびTi-6Al-4V、Ti-6Al-7Nb合金の腐食挙動に及ぼすフッ素濃度とpHの影響を詳細に検討すると共に、フッ素含有環境において高い耐食性を有するチタン合金の開発を目的として、Ti-0.2Pd、Ti-10Mo-0.2Pd合金を試作し、耐食性の比較検討を行った。 その結果、純TiおよびTi-6Al-7Nbの耐食性は、ほぼ同様であるがTi-6Al-4Vは耐食性が他に比べ劣っていることがわかった。またTi-0.2Pd、Ti-10Mo-0.2Pd合金は、純TiおよびTi-6Al-4V、Ti-6Al-7Nb合金に比べ、優れた耐食性を有することが明らかとなった。特にTi-10Mo-0.2Pd合金はフッ素を含有する酸性溶液中で非常に優れた耐食性を有することが分かった。 本実験で得られたTiおよびTi合金の耐食性が維持されるNaF濃度およびpHの領域と耐食性が失われる領域の境界を示すダイアグラムは、チタンやチタン合金を使用する環境のフッ素濃度とpHがわかれば、それが腐食するか否かを予測するための有用な情報を与える。 またTi-0.2Pd、Ti-10Mo-0.2Pd合金は、フッ素を含有する酸性溶液環境で、純TiやTi-6Al-7Nb合金よりも高い耐食性を有し、歯科用の新しいチタン合金としての応用が十分に期待できる。
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Research Products
(1 results)