Research Abstract |
貴金属合金と義歯床用レジンとの接着性を確立することを目的として,以下の実験を行った. 平成9年度には,Adlloy改質法,M-プライマー法,V-プライマー法,シリコーター法,スズ電析法I(クラエースMODEL100),スズ電析法II(クラエースミニ)の6種類の各種表面処理法による接着効果の検討を色素侵入試験により行い,Addloy改質法およびスズ電析法IIが有効であることが判明した.なお,被着合金としては,金銀パラジウム合金およびタイプIV金合金を用いたが,Addloy改質法およびスズ電析法IIとも,タイプIV金合金より金銀パラジウム合金の方が高い接着性を示した.さらに,金銀パラジウム合金を被着合金として,各種表面処理法による接着強度を検討するために,せん断試験を行った.その結果,先の実験と同様に,Addloy改質法およびスズ電析法IIにおける高い接着強度を確認できた. 平成10年度には,新規購入のサーマルサイクル試験機を用いて,熱負荷後の接着強度を検討した.すなわち,被着合金は金銀パラジウムとし,前年度の実験で高い接着性を示したAddloy改質法およびスズ電析法IIの2種類の表面処理法を施して,せん断試験を行った.その結果,スズ電析法IIがより高い接着強度を示した.さらに,フィニッシングライン部形態に関して,臨床応用を想定した義歯様形態試験片を製作し,色素侵入試験により検討した.なお,設定したフィニッシングライン部形態は,従来から付与されているバットジョイント形態と,緩やかな傾斜面を付与する移行形態の2種類とした.その結果,後者のフィニッシングライン部形態が有効であることが解明した. 以上の結果から,貴金属合金と義歯床用レジンとの接着には,表面処理法としてはスズ電析法IIが,使用合金としては金銀パラジウム合金が,フィニッシングライン部形態としては移行形態が望ましいことが明らかとなった.
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