1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09672005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
新井 浩一 明海大学, 歯学部, 助教授 (90049396)
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Keywords | 光重合型コンポジットレンジ / デンチンプライマー / ボンディング材 / 象牙質接着 |
Research Abstract |
本研究の目的は,根面う蝕や歯頚部う蝕などの治療処置に対して、従来のリン酸水溶液などの酸処理を施すのではなく、象牙質の無機成分を脱灰させないで象牙質管がスメアーキャッピングしたまま管周象牙質にも接着する象牙質接着システムを開発するとともにそれらの接着メカニズムを解明することである。 そこで,本年度は、デンチンプライマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート60重量部・蒸留水40重量部からなる水溶液に15種類の芳香族アミンと18種の脂肪属アミンをそれぞれ0.5mol%を添加した33種のプライマー(Aプライマー)およびAプライマーにそれぞれ合成したカルボン酸基を有するモノマー10重量部を添加したプライマー(Bプライマー)の計66種のデンチンプライマーを調製した。また、比較対照として37%リン酸水溶液を用いて、抜去牛歯研磨象牙質面にそれぞれ30秒間処理を行い、エア-ブロ-乾燥後、IR分析とSEM観察を行った。 IR分析結果では、未処理象牙質は、1656cm^<-1>にコラーゲンのカルボニル基、1035、601および581cm^<-1>に無機質成分のカルシウムのピークを示した。1656cm^<-1>のカルボニル基に対する1035cm^<-1>のリン酸基のピーク比は、AおよびBプライマーの場合、未処理象牙質とほとんど同じであるのに対して、リン酸水溶液では約50%低下していた。このことは、前者が後者よりも無機質成分の脱灰がほとんど無く、変質が少ないことを示唆している。 一方、SEM観察結果では、リン酸水溶液の場合、試料作製時の600番の耐水紙により生じたスメア-層は除去されていたのに対し、Aプライマー群ではいずれも研磨の際に生じた条痕が観察され、スメア-層が残存していた。また、Bプライマー群の場合、象牙細管内がキャッピングされ、管周象牙質が露出しているものが多く観察された。
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