1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の歯科受診時の疲労と緊張を緩解させる診療体系の検討
Project/Area Number |
09672013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
祇園白 信仁 日本大学, 歯学部, 講師 (90153262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 朋章 日本大学, 歯学部, 助手 (40291710)
飯沼 利光 日本大学, 歯学部, 助手 (10246902)
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Keywords | 高齢者 / 総義歯調製 / 印象採得 / 脈拍 / 血圧 |
Research Abstract |
本研究は、健康と思われる高齢者の歯科診療での疲労や緊張について観察・検討することにより、高齢者に対し如何なる診療方法が負担を軽減でき、二次疾患の発症防止につながるかについて、実際の診療術式の中で明らかにすることを目的としたものである。 そこで、本学歯科病院総義歯補綴科を総義歯調製を希望して来院した健康と診断できる無菌顎患者で、本研究の主旨と方法に理解と同意が得られた11名を対象として、総義歯調製過程の第一歩である概形印象について研究を実施した。診療中に高齢患者が何の様に緊張し、その緊張が何の様に疲労を招くかについてを間接的に評価する指標としては脈拍と血圧を採りあげ、診療開始前から経時的に観察を行い、検討し、以下の知見を得た。なお、対照群(成人健常者群)として本学歯学部学生12名についても同様に観察を行った。 1.安静時の脈拍および最大・最小血圧は、高齢無歯顎患者群と成人健常者群とで有意差を認めなかった。 2.概形印象操作時に脈拍は両群とも変動が認められなかったが、最大・最小血圧は、成人健常者群で印象前から印象後を通じ変動が小であったが、高齢無歯顎患者群では印象時に最大血圧が90〜179mmHg、最小血圧が50〜102mmHgと安静時に比較し広い範囲に渡り、血圧に変動を招いていることが認められ、最も大きい患者で最大血圧が35mmHg、最小が23mmHgの変動であった。この最大・最小血圧の変動は、印象という非日常的な行為による予期できないストレス負荷という点において問題を招くことが考えられ、事前に患者が印象操作について理解できるように具体性を持った説明をすることが必要と言える。 3.概形印象時に高齢無歯顎患者群で最大・最小血圧の変動が大であった要因としては、術者の診療術式の熟練度や患者に与える心理的信頼度の相違に因ることが判明し、歯科医師としての研鑽が重要であると示唆された。
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