1998 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の歯科受診時の疲労と緊張を緩解させる診療体系の検討
Project/Area Number |
09672013
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
祇園白 信仁 日本大学, 歯学部, 講師 (90153262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 朋章 日本大学, 歯学部, 助手 (40291710)
飯沼 利光 日本大学, 歯学部, 助手 (10246902)
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Keywords | 高齢者 / 歯科診療 / 総義歯調製 / 印象 / 脈拍 / 酸素飽和度 / 血圧 |
Research Abstract |
本研究は、健康と思われる高齢者の歯科診療中の緊張や疲労について観察・検討することにより、いかなる診療方法を選択すれば高齢者の肉体的・心理的負担を軽減することが可能であるかを、実際の診療術式の中で明らかにすることを目的とした。そこで、高齢者歯科診療の中で最も大きな割合を占めている総義歯調製に着目し、各個トレー試適から最終印象までの一連の印象操作過程について検討した。被検高齢者は、本学歯科病院総義歯補綴科を総義歯調製を希望して来院した無歯顎患者9名であり、被検者の緊張や疲労の評価は、診療中の脈拍、酸素飽和度および血圧の観察によって行い以下の知見を得た。 1. 印象操作が脈拍の変動を招いたのは、被検者2名の最終印象の口腔よりの撤去時のみであり、脈拍においては印象操作による変動は殆ど認められない。 2. 酸素飽和度においては、印象操作による変動は認められない。 3. 血圧においては、収縮期血圧、拡張期血圧および平均血圧共に印象操作時に変動を認め、操作が進むにつれて3者共に高くなり術後に術前より低くなる例が4名に、操作が進むにつれて次第に術前より低くなる例が3名に認められた。この変動様相は印象という操作によるストレスの負荷と解放の繰り返しによることは推察できるが、その詳細には今後の更なる検討を必要とする。 4. 印象操作としての辺縁形成と最終印象を比較した場合には、収縮期血圧、拡張期血圧および平均血圧共に前者が後者に比較して大きな変動を招き、辺縁形成時の患者への運動要求あるいは術者の行為が変動が大となった起因と考えられた。 5. 本研究での血圧変動は印象術式自体によるものであり、今後術式の修正を図るべく歯科診療を考える必要がある。
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