1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09672019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
酒匂 充夫 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (90225855)
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Keywords | 抗菌材 / 軟質裏装材 / Candida albicans |
Research Abstract |
1.目的 顎堤粘膜が極端に薄く,被圧変位性が小さい症例や,顎欠損を伴い口腔内にオブチュレーターを装着する症例では,しばしば軟質裏装材を使用する.しかしながら,軟質裏装材はCandida albicansなどの真菌類の増殖を助長する傾向があり,義歯床下粘膜を長期的に保全することを目的に,シリコーン系軟質裏装材に抗菌材を軟質裏装材に添加し,抗菌材無添加の軟質裏装材と抗菌材含有軟質裏装材の値を比較検討した. 2.結果 抗菌材含有率3%のアクリル系軟質裏装材を試作し,ショアー硬さ(精製水中浸漬及び大気中放置),吸水性ならびに抗菌性を比較した結果,床用レジンと同じく有効な結果が得られたが,シリコーン系軟質裏装材はアクリル系軟質裏装材と比較し細菌の増殖傾向が高いものの,口腔内での安定性ではシリコーン系軟質裏装材が優れているため,今回,シリコーン系軟質裏装材に抗菌材を1,2,3,5,7%の割合で添加し,抗菌材の含有率が機械的性質と抗菌性に及ぼす影響について比較検討した. 水中浸漬後のショアー硬さにおいてどの含有率でも増加傾向を示し,これは,大気中放置後のショアー硬さ試験においても同様であった. 吸水性試験の結果においても若干の増加傾向が見られるものの,大きな経時的変化は見られなかった. 抗菌性試験の結果,サーマルサイクルテストの有無にかかわらず,抗菌材の含有率が高くなるに従い生菌数は減少し,2%以上においてその数は顕著な減少を示した. 今回の結果から,抗菌材を2%添加した条件にて機械的性質を劣化させず,有効な抗菌性を有するシリコーン系軟質裏装材が得られると示唆された.
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