1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09672020
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Research Institution | ASAHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
後藤 隆泰 朝日大学, 歯学部, 講師 (30121320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀水 秀男 朝日大学, 歯学部, 助手 (00152877)
足立 正徳 朝日大学, 歯学部, 講師 (60076057)
土井 豊 朝日大学, 歯学部, 助教授 (40116067)
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Keywords | 歯科用レジン / 応力誘起腐食 / 腐食性物質 / 亀裂成長 / 応力拡大係数 / 破壊靱性値 / 寿命予測 |
Research Abstract |
臨床ではしばしば義歯床に亀裂が観察される。この亀裂は機械的疲労などによって生成し成長すると考えられているが、本研究ではその原因を破壊靭性値以下で進行する応力誘起腐食による亀裂成長、すなわち亀裂先端まで拡散した腐食種とレジンとの化学反応に起因する高分子鎖の切断によると推測し、口腔内に食物として摂取されるものの中で、腐食種となりうるもの(酢酸,乳酸,エタノール,アセトン,クエン酸,食塩水)を選び、それらが義歯床用加熱重合レジンの亀裂成長に及ぼす効果について棟討した。加熱重合した義歯床用レジンから長さL=50mm、高さW=8mm、幅B=4mmの棒状試片を切り出し、試片底部中央に深さ2mmのノッチを入れた。更に三点曲げ荷重をかけて予亀裂を導入し、全体の亀裂長さa_Oが4±0.1mmの試片のみを実験に用いた。測定は定荷重三点曲げ法で行い、亀裂先端部に腐食溶液を拡散させるために、試片底部のノッチ部に近接させた点滴装置の注射針から約5ml/minの速度で溶液を供給した。初期の応力拡大係数K_Iが0.5±0.05MPam^<1/2>になるように荷重を調節して亀裂成長を開始させた。亀裂長さの経時変化はデジタルマイクロスコープを用いて測定し、相対亀裂成長量を算出した。その結果、食塩水以外では亀裂の成長が認められ,特にエタノールと酢酸の効果が大きく、次いで乳酸の順であった。また、いずれの溶液も濃度が高いほど成長量は増加していた。更にいずれの溶液の場合も成長速度は時間の経過とともに低下していた。この原因には(1)亀裂先端部のクレイスから生じて分岐した微小亀裂の生成による応力の分散、(2)亀裂先端部への腐食種の拡散速度が小さいことによる腐食種の濃度の低下などが考えられ、亀裂成長が停止しているのではなく成長速度が著しく低下しているためであると考えている。本実験では初期の応力拡大係数を破壊靭性値の約半分に設定したが、溶液によっては極めて大きな亀裂成長を示した。このことは口腔内でも食物として摂取した墳機物が腐食種として作用し、義歯床の亀裂成長を促進する可能性を示唆するものである。
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Research Products
(2 results)