Research Abstract |
実験1.臓器および血液成分中の総水銀の分別定量 妊娠1日目のラットにアマルガムを充填し,妊娠20日目に還流屠殺し,母親の脳,肝臓,腎臓,肺および胎盤,胎児の脳,肝臓,腎臓中の総水銀を金-アマルガム法で測定した.総水銀量は,母親では各臓器とも無処置の対照群と比較して有意な取り込みを認め,水銀の臓器内分布は腎臓に最も多く,次いで肝臓,胎盤,肺が多く,脳では少なかった.胎児では脳,肝臓において有意な取り込みを認めたが,水銀の臓器内分布は肝臓に多く,腎臓では少なく,母親と異なった分布を示した.血液成分中の総水銀も無処置の対照群と比較して多く認められた.また,胎児臓器中の総水銀量は母親よりも少なかった.ガスクロマトグラフによる有機水銀の定量は,2,3の抽出方法について検討を加えたが,回収率が低く採用出来なかった.そのため,国立水俣病総合研究センターの赤木先生のご協力により,先生が開発された抽出方法で回収率の検討した結果,回収率は80%に向上したが,最適条件の設定について検討を要する. 実験2.アマルガムに存在する水銀の中枢神経系に及ぼす影響について. ラットの歯に高銅型アマルガムを4本充填し,ロータロードに乗せ,脱落するまでの時間を計測したが,結果のバラツキが大きく,再度検討を要する.この実験に関する報告はきわめて少なく,評価方法について予備的検討が必要である. 実験3.特殊染色法による水銀の臓器内分布 特殊染色法(Photo-emulsion histochemical method)による水銀の臓器内分布は,脳中総水銀量が20ppb以上でないと検出されないことが判明した.そのために,アマルガムの充填歯数を4歯として検討している.また,飼育期間は脳中の水銀蓄積量を多くするために,3ヶ月の飼育は取り止め,6ヶ月および1年後に変更した.現在,6カ月経過後のラットを屠殺し総水銀の分析を行なっている.
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