1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯科治療によるストレス負荷時のインフォームドコンセントの効果
Project/Area Number |
09672028
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
前田 照太 大阪歯科大学, 歯学部, 助教授 (10103110)
|
Keywords | インフォムドコンセント / 歯科治療 / ストレス負荷 / カテコールアミン |
Research Abstract |
歯科治療に対して,患者は不安や恐怖感を持っている.また治療中に侵害刺激を与えることも多く,これらのストレスが原因となり,歯科の受診を遠ざけていることも否定できない.また全身的偶発症を招くことも少なくなく,歯科治療時の精神的および肉体的ストレスを緩和することは重要であると思われる.歯科治療経験がないか極めて少ない健康な本学学生ボランティア28人(平均24.9歳)を被験者とし.実験日までにあらかじめ口腔内に浸潤麻酔を行うこととその術式と予想される口腔内状況をインフォームドコンセントによって十分に説明したグループ(IC群)と実験直前まで何も説明しないグループ(n-IC群)に分け、心理テストSTAlおよび不安と疼痛に対するVisual Analogue Scale(VAS)を行った.被験者を仰臥位にし血圧、指尖部血流、脈拍数、静脈路より血中カテコールアミンの測定を行った。30分間安静にした後、安静時データの測定を行い、上顎市歯部歯肉口唇移行部に浸潤麻酔を行った。麻酔開始時、2分後、5分後15分後にデー夕の測定を行った.状態不安尺度は、IC群では安静時と実験直前と変化しなかったのに対し、n-CL群では実験直簡に有意に増加した(P<0.01).拡張期血圧は浸潤麻酔により両群ともに有意に上昇し、n-IC群で麻酔後も安静時より有意に高い値を示したが、IC群では2分後5分後には有意差を示さなかった.指尖部末梢血流量は、浸潤麻酔によりn-IC群のほうが大きな減少を示し、安静時との比較で有意な減少がみられた.浸潤麻酔によりエピネフリンの変化は、n-IC群のほうが大きな上昇率を示す傾向が見られ、15分後にはn-IC群で上昇したのに対し、IC群では低下を示した.以上のことからインフォームドコンセントにより刺激時に交感神経の興奮が緩和抑制されたため、経時的に刺激以外の因子、すなわち実験に対する不安、恐怖などの情動因子による交感神経活動が低下したことによると考えられる.
|