1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09672030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka College of Health Sciences |
Principal Investigator |
井上 勇介 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 助教授 (20105688)
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Keywords | 接着 / 研磨象牙質 / 光重合型ボンディング剤 / セルフェッチングプライマー |
Research Abstract |
2-hydroxy acrylateに無水マレイン酸、無水シトラコン酸を付加させて2AEM、2AECを、また、2-hydroxy methacrylateに無水マレイン酸、無水コハク酸を付加させて2MEM、2MESをそれぞれ合成し無色透明のモノマーを得た。これらのモノマーについてそれぞれIR、NMRで構造を確認した。蒸留水に2AEMあるいは2AEC、また、HEMAあるいはMEAAを添加して調製したセルフェッチングプライマーに2MEM、2MES、Bis-GMAを添加して各種の組成を有する光重合型ボンディング剤を調製した。しかし、Bis-GMAは成分として多くのバリエーションをとれなかった。また、本研究に使用するモノマーは殆ど酸性モノマーで濃度も高いため、カンファーキノン、QTXと組み合わせる還元剤としてN,N-ジメチルアミノメタクリレートは適当でなかった。カンファーキノンは0.1〜1.0wt%、QTXは1〜3wt%とN-フェニルグリシンは0.5〜3wt%の範囲で、良好な硬化特性を示した。また、カンファーキノンは非水溶性であるため、試作ボンディング剤中のモノマーの濃度比によっては使用できないこともあり、使用範囲が限られる結果となった。試作した光重合型ボンディング剤は、酸性モノマーである2AEM、2AECを含むためpH2〜pH3の酸性を示した。象牙質への接着性では、光重合型コンポジットレジンにZ100(3M社製)を用い24時間後の接着強さを測定した。2AEM、2AEC、HEMA、MEAAなどの水溶性のモノマーと2MEM、2MESを組み合わせると各種の濃度範囲を設定できた。水溶性の酸性モノマーである2AEM、2AECはどちらを用いても接着強さに大きな差は認められないが、HEMA、MEAAではMEAAを用いた方が高い接着強さを示す傾向が認められ、また、光重合型ボンディング剤の成分として有効であった2MEM、2MESでは2MEMを用いた方が高い接着強さを示す傾向が認められた。しかし、検索した組成の光重合型ボンディング剤で10MPa以上の接着強さは獲得できたものの、未だ20MPaを越えることはできていないので、さらに組成の詳細な検討を行う必要がある。
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