1999 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌特有の紫外線励起蛍光を発する組織中のポルフィリン関連物質の分析同定
Project/Area Number |
09672036
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鬼澤 浩司郎 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60194578)
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Keywords | 口腔癌 / 固有蛍光 / ポルフィリン / 補助診断法 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト臨床材料およびヒト口腔癌由来の培養細胞中のポルフィリン関連物質の分離、同定を中心に検討した。ヒト口腔癌の赤色の紫外線励起蛍光を示す表層組織を採取し、比較物質として舌苔、歯垢も同一患者から採取し、蛍光分析および高速液体クロマトグラムによるポルフィリンの分析を行った。その結果、蛍光分析では、405nm紫外線励起により633〜636nmの蛍光ピークを示す物質が癌組織抽出物および舌苔、歯垢に認められ、蛍光波長のピークからプロトポルフィリンが主な蛍光物質と推測された。しかし、これら物質を高速液体クロマトグラムを用いて分析した結果、癌由来の蛍光組織は、プロトポルフィリンおよびその関連物質型、コプロポルフィリンおよびその関連物質型およびその他の蛍光物質型の3群に分類されることが示唆された。また、舌苔や歯垢にも同一患者では癌組織と類似した蛍光物質の型を呈しており、蛍光強度が癌組織に比較して明らかに低いことから、癌組織の蛍光物質が付着して舌苔や歯垢に類似蛍光を生じている可能性が示唆された。また、ヒト口腔癌株化細胞においては、プロトポルフィリンの前駆物質であるアミノレブリン酸を投与下で認められたプロトポルフィリン様の蛍光は、高速液体クロマトグラムによる分析では、明らかなプロトポルフィリンやコプロポルフィリン存在は認められずその他の蛍光物質型に属する可能性が示された。今回の検討で得られた、蛍光物質の3型の臨床的意義を明らかにするまでには至らなかったが、本分類は従来報告されていない新しい知見であり、今後臨床病態像との関連を検討していく予定である。
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[Publications] K.Cnizawa: "Usefulness of fluorescence photography for diagnosis of oral cancer"Int J Oral Maxillotac Surg. 28. 206-210 (1999)
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[Publications] K Onizawa: "Chromatic analysis of autofluorescence emitted from squamous cell carcinomas arising in the oral cavity: aproliminary study"Int J oral Maxillotac surg. 29. 42-46 (2000)