1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の浸潤・転移に関与する運動因子の解析
Project/Area Number |
09672041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
熊谷 茂宏 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (00215013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川尻 秀一 金沢大学, 医学部, 助手 (30291371)
山本 悦秀 金沢大学, 医学部, 教授 (00092445)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 運動因子 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌の浸潤と転移に関与する運動因子を明らかにする目的で、浸潤様式の異なる3種類の口腔扁平上皮癌細胞株OSC・20(3型)、OSC 19(4C型)、HOC・313(4D型)を用いて、金コロイド法で運動能の測定を行った。その結果、10%FBS加イ-グルMEM培地では、OSC・20細胞は28.8±14.1(×100μm^2)、OSC・19細胞は43.6±24.6(×100μm^2)、HOC313細胞は168.0±98.1(×100μm^2)であり、浸潤様式が高度になるに従い運動能も高いことが判明した。また、同様に0.1%BSA加無血清イ-グルMEM培地では、OSC・20細胞は16.9±7.1(×100μm^2)、OSC・19細胞は15.0±4.4(×100μm^2)と両細胞株の運動能は低かったのに対して、HOC・313細胞は106.0±52.0(×100μm^2)と無血清培地においても極めて高い運動能を示した.これらの結果より、HOC・313細胞は自己分泌型の運動促進因子を産生分泌していることが示唆された.そこで次に、これらの細胞株において、自己分泌運動促進因子の一つであるautocrinmotilityfactor(AMF)のmRNAの発現をノーザンブロット法を用いて検討した。その結果、AMFのmRNAの発現はHOC・313細胞で最も強く、OSC・20細胞では弱く、OSC・19細胞は両者の中間であった。また、AMF受容体のmRNAはHOC・313細胞とOSC・20細胞では比較的強い発現を認めたが、OSC・19細胞ではその発現は微弱であった。以上の結果より、浸潤様式4D型を示すHOC・313細胞はAMFを産生分泌することによって高い固有運動能を保持していることが明らかとなった。 さらに、これらの3つの癌細胞株についてトランスウェル・チャンバーを用いて傍分泌型の運動促進因子であるscatter factor(SF)に対するケモタキシスを計測したところ、HOC・313細胞とOSC・20細胞はSFの濃度依存的に運動能の促進を認めたが、OSC・19細胞はSFに対して感受性を示さなかった。
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