1998 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧自然発症ラットの循環動態に及ぼすβ遮断薬とエピネフリンの相互作用
Project/Area Number |
09672047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丹羽 均 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30218250)
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Keywords | エピネフリン / β遮断薬 / 循環 / 高血圧自然発症ラット |
Research Abstract |
局所麻酔薬に添加されたエピネフリンとβ遮断薬との相互作用について,高血圧自然発症ラット(SHR)とWister-Kyotoラット(WKY)をもちいて検討した. 無麻酔下のラットに2%リドカインに添加されたエピネフリン20μg/kgと非選択性β遮断薬のピンドロール0.7mg/kgを腹腔内に投与し,その時の循環動態の変動を,ラット・マウス用非観血式血圧測定装置により,尾動脈の脈波より観察した.その結果,SHRに対して非選択性β遮断薬ピンドロールとエピネフリンを併用すると,著しい拡張期血圧の上昇が見られた.一方,WKYでも同様の変化が認められたが,血圧の上昇の程度は,SHRの場合に比べて有意に小さかった.血圧上昇の発生機序として,β遮断薬によってエピネフリンのβ2作用が遮断されたため,残ったαl作用が相対的に優位となり,末梢血管抵抗の増大が起こったためと考えられる.また,SHRでより著しい変化の見られた原因を検討するため,SHRとWKYのフェニレフリンに対する反応性を調べたところ,α1作用に対する感受性が,WKYに比べSHRの方が高いことが判明した. さらに,以上の研究の問題点と考えられる,1) 薬剤を腹腔内に投与しているため,血中濃度の変化が個体によりかなり異なっている可能性があること,2)リドカインに添加された形のエピネフリンを用いており,リドカインの循環に及ぼす影響も無視できない点を考慮し,現在,薬剤を腹腔内に投与するのではなく,静脈内投与による投与量と反応性との関連性についても討している.さらに,新しい静脈麻酔薬である,プロポフォール麻酔下でのエピネフリンとβ遮断薬の相互作用について検討中である.
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