1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性嚢胞の発育増大におけるサイトカインとMMPの発現機構と機能の解析
Project/Area Number |
09672054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
窪田 泰孝 九州大学, 歯学部, 助手 (60205151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白砂 兼光 九州大学, 歯学部, 教授 (30093420)
竹之下 康治 九州大学, 歯学部, 助教授 (50117157)
梶岡 俊一 九州大学, 歯学部, 助手 (90274472)
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Keywords | 歯原性嚢胞 / サイトカイン / MMP |
Research Abstract |
歯原性嚢胞の詳細な嚢胞化機序や発育増大機序については未だ不明で、我々は歯原性嚢胞において、IL-lαが嚢胞の発育増大に強く関与している可能性を示唆する結果を得ている。本研究は、歯原性嚢胞の発育増大における嚢胞腔内圧の影響を明らかにするとともに、IL-lαの作用を明確にし、歯原性嚢胞の発育増大機構を解明することを目的としている。現在までに下記結果を得ている。 1)嚢胞腔内圧の影響について検討を行った。結果:歯原性嚢胞患者における嚢胞腔内圧の測定を行ったところ、歯原性嚢胞腔内圧は嚢胞の種類にかかわらず、平均約60mmHgを示すことが判明した。嚢胞開窓術(嚢胞腔内圧)の嚢胞壁におけるIL-lαの発現に及ぼす影響をn situハイブリダイゼーション法で検討したところ、嚢胞におけるIL-lα mRNAの発現が低下することが判明した。 2)歯原性嚢胞におけるIL-lαのマトリックスメタロプロテアーゼに対する影響を検討した。結果:歯原性角化嚢胞の嚢胞壁培養上清中にはproMMP-9、活性型MMP-9、MMP-2が認められたが、含歯性嚢胞、歯根嚢胞の嚢胞壁培養上清中には、活性型MMP-9は認められなかった。しかし、嚢胞壁培養液中にIL-lαを添加すると培養上清中へのMMP-2、MMP-9分泌の増加とともに、活性型MMP-9の発現を認めた。 3)歯原性嚢胞由来線維芽細胞を用いて、IL-lαのMMP-2分泌に対する影響を検討した。 結果:線維芽細胞のMMP-2産生には、細胞間質とIL-lαが影響を及ぼすことが判明した。またMMP-2の活性化は細胞間質とIL-lαによってMT-MMPが発現されることにより起こると推定された。 今後はさらに、嚢胞腔内圧、IL-lα発現およびMMP発現、活性化の三者の関連をさらに詳細に検討する予定である。
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