1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜組織の癌化における各種転写調節因子発現の変化に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
09672057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
芝 良祐. 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (00029977)
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Keywords | 前癌病変 / 口腔粘膜 / 癌化 / c-fos / c-jun / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
口腔粘膜の癌化に対する転写因子の発現の変化を検討するために、正常粘膜組織、前癌病変および癌病変組織に対してfosおよびjun遺伝子の発現を免疫組織化学的手法を用いて検討した。 現在までに、fosおよびjun遺伝子ファミリーの中でc-fosおよびc-Jun遺伝子の発現を約50例の各種口腔粘膜病変(炎症性口腔粘膜組織、口腔前癌病変、扁平上皮癌)に対して検討した。その結果、非腫瘍性の上皮組織ではこれらの遺伝子の発現に関して頻度および程度ともに高かったが、前癌病変ではやや低く、さらに扁平上皮癌では分化度が低いほどこれらの遺伝子の発現は低かった。すなわち、口腔粘膜の癌化あるいは癌の悪性度の増加に伴い、これらの遺伝子の発現は減少するという傾向が得られた。fosおよびjun遺伝子は口腔粘膜や皮膚において角化や分化に関連して発現することが報告されており、癌化に伴って細胞内におけるこれらの正常な機能が妨げられているものと考えられる。 fosおよびjun遺伝子産物であるFosおよびJunタンパクは種々のダイマーを形成しDNAに結合することで標的遺伝子の転写を促進すると考えられている。そこで、これまでに得られた結果をさらに発展させ、これらの遺伝子の発現が同一細胞で起こっているかどうかを検討するために、蛍光色素による二重染色法を用いて2種類の転写因子の発現を同一細胞において観察し、各病変で発現しているFosおよびJunタンパクのダイマー形成の組み合わせについて検討していく予定であり、現在、その方法を確立しつつある。この方法を用いて各転写因子の発現の変化をより詳しく観察し、口腔粘膜の癌化との関連性について検討する。さらに、各病変の予後調査結果とも照らし合わせて、前癌病変において癌化する可能性が高い病変を検出する方法を見いだしたいと考えている。
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