1997 Fiscal Year Annual Research Report
口蓋裂術後症例の構音機能に及ぼす口蓋床(Hotz)装用の効果
Project/Area Number |
09672064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
鈴木 恵子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40286381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中北 信昭 北里大学, 医学部, 講師 (40180260)
山崎 安晴 北里大学, 医学部, 講師 (00210401)
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Keywords | 口蓋裂 / Hotz床 / 超音波断層法 / 哺乳 / 構音発達 |
Research Abstract |
1.生後6ヶ月のHotz床装着口蓋裂例、非装着口蓋裂例、および健常例、各2例ずつについて、哺乳時の舌運動を、超音波断層法を用いて観察した。観察は、対象児の空腹な時間を選び、日常使い慣れた哺乳用人口乳首を用いて、母親が授乳を行う場面で行った。哺乳開始後間もなく対象児の下顎骨直下にプローブを当て、Bモード、正中矢状断像を得た。文献上の検索と実際の観察から、0.7秒から0.8秒程度のサイクルの運動が繰り返されて哺乳が進行すると判断されたため、最低でも2秒、平均4秒程度の哺乳場面の資料を分析の対象とすることとした。録画画像からビデオプリンターを用いて1秒間20コマの静止画像を取り出し、トレーシングを行った。画像上、舌表面、および乳首の動きはほぼ明瞭に観察され、また乳汁の通過に伴い軟口蓋の下面も画像に現れ観察が可能となった。今後、得られた画像を定性的に解析して、Hotz床装着、非装着、健常による哺乳運動の違いを明らかにしていく予定である。 2.Hotz床症例の術後の鼻咽腔閉鎖機能、構音発達を、3ヶ月ごとに観察、評価した。術後鼻咽腔閉鎖機能の獲得が確認され、ろう孔もない症例の一部で、口蓋化構音の出現が観察されている。今後症例を増やしHotz症例の構音発達の特徴を抽出する予定である。 3.Hotz床を用いない従来の口蓋裂症例に関して、裂型による異常構音の出現率、種類の違いを調査、検討した。唇顎口蓋裂症例と、硬軟口蓋裂および軟口蓋裂症例とのあいだに、異常構音の出現率に差があり、前者で明らかに高かった。今後、この資料を、Hotz床の構音への影響の評価や、Hotz床を術前いつの時期まで装着すべきかを検索するための、基礎データとする方針である。
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