1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯科口腔外科領域の呼吸管理の客観的評価に関する基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
09672070
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渋谷 鉱 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70130523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 康子 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (40277471)
下坂 典立 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (90297854)
山口 秀紀 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50220273)
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Keywords | 診療体位 / 嚥下 / ミダゾラム / プロポフォール / レスピトレース |
Research Abstract |
1. 歯科診療体位および頭位が嚥下運動におよぼす影響について 呼吸および嚥下機能に異常を認めない健康成人9名を対象とし、開口したままでの嚥下運動(嚥下時間および嚥下行為の難易度)を観察した(C群)。さらに、鎮静薬のミダゾラムを投与し同様の測定を行った(M群)。 【結果】1) C群嚥下時間・嚥下難易度 嚥下時間は、座位・頭部体軸位で2.3秒(平均)と最も短く、水平位・頭部後屈位で3.2秒と最も長い値を示したが、各測定位において有意の差は認められなかった。難易度スコアーは座位・体軸位で低値を示した。半座位および水平位での頭部後屈位ではスコアーが高く、嚥下が困難となる傾向がみられた。また、座位、半座位、水平位のいずれの体位においても、頭位が体軸位の時にスコアーが最も低値を示し、嚥下が行いやすくなる傾向にあった。 2) M群嚥下時間・嚥下難易度 ミダゾラム投与時では、半座位・頭部体軸位で3.3秒と最も短く、水平位・頭部後屈位で4.5秒と最も長かった。C群に比較し、いずれのポジションにおいても嚥下時間の延長がみられた。座位・体軸位で1.9(平均)と難易度スコアーが低く、水平位・頭部後屈位で2.8と最も高値を示し、C群と同様に水平後屈位では嚥下が困難になる傾向がみられた。 2. プロポフォール急速投与時の呼吸様相の変化について ASAI度の患者13名を対象に、胸郭(RC)および腹壁(Abd)の呼吸運動波形(レスピトレース)を記録した。。プロポフォール(Prp)投与量および投与速度=2.0mg/kgを0.05mg/kg/secにて投与。 【結果】 1) 呼吸運動消失時期、Prp投与中または投与終了時:6例、投与終了1分(測定時間)以内:4例 測定時間終了後も呼吸運動持続または再開:3例 2) 呼吸運動消失の様相RCおよびAbd heigth漸減:11例、RCおよびAbd heigth減少なし:2例Prpによる呼吸抑制は、上気道抵抗の増大よりも呼吸中枢抑制による影響がより強く関与している。血中濃度の上昇は急激な呼吸中枢抑制作用を発現させる可能性も考えられる。
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