1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜癌の多発,再発におけるパピローマウイルスと癌関連遺伝子の検討
Project/Area Number |
09672074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
本間 義郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60157112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水沼 秀之 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (70267516)
河原 健司 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (80247311)
井上 聡 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50139557)
小園 知 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40084785)
木下 靱彦 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (70084770)
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Keywords | 口腔粘膜癌 / 多発癌 / ヒトパピローマウイルス |
Research Abstract |
本報告はHPVが口腔粘膜多発癌の発症に関与するか否かについて検討した。対象は1968〜1996年に当科で扱った口腔粘膜多発癌11例で、臨床病理組織学的観察、HPV16型(HPV16)の免疫組織学的検索、電顕的観察とPCR法によるHPV16 DNAの検出を行った。その結果、以下の結論を得た。 1.口腔粘膜多発癌は性別では女性に多く、発症部位では頬粘膜、歯肉に多くみられた。また、第3癌以降では早期癌が多く、発症間隔も短くなる傾向であった。 2.背景因子としては、前癌病変が7例(白板症が6例、紅板症が1例)、前癌状態が3例(扁平苔癬が2例,Plummer-Vinson症候群が1例)にみられた。飲酒、喫煙との関係は明らかではなかった。 3.前癌病変や癌隣接部の粘膜上皮は、病理組織学的には過形成から高度異形成を示した。免疫組織学的には高頻度にHPV16が検出され、主に棘細胞層から上層に観察された。 4.電顕的には前癌病変や癌隣接部の粘膜上皮の核内におよそ50-60nmのウイルス粒子が観察され、さらに免疫電顕によりHPV16であることが確認された。 5.PCR法では9例中7例の癌組織にHPV16 DNAが検出された。以上の所見から、口腔粘膜多発癌の発症におけるHPV16の関与が示唆された。 なお癌抑制遺伝子との関連については検索中である。
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