1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌細胞のシスプラチン耐性に関する研究-耐性細胞の樹立と耐性機構の解析-
Project/Area Number |
09672085
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Research Institution | Hyogo Collge of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 由美子 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70278836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌細胞 / シスプラチン耐性 / Pt細胞内含有量 / P糖蛋白 / グルタチオン(GSH) / GST-π / 熱ショック蛋白(HSP) / メタロチオネイン(MT) |
Research Abstract |
1. シスプラチン(CDDP)耐性細胞の樹立 CDDP(0.1〜1.0μg/ml)存在下で継代培養した結果、耐性度20倍以上のCDDP耐性KB-CDDPrを樹立した。KB-CDDPrはMMC、CBDCA、5-FU、BLMに対し2倍以上の交差耐性を示した. 2. CDDP耐性機構の解析 KBとKB-CDDPrのPt細胞内含有量、P糖蛋白、グルタチオン(GSH)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)-π)、熱ショック蛋白(HSP)、メタロチオネイン(MT)について比較検討した。 (1) 両細胞のPt細胞内含有量は、CDDP処理時間、処理濃度に比例増加した。耐性細胞はKBに比べて約1/3のPt含有量であった。 (2) P糖蛋白の免疫組織染色では両細胞は陰性であった。 (3) 両細胞のGSH量はCDDP処理、非処理に関わらず有意な差はなかった。 (4) 両細胞間のGST-πの免疫組織染色性、蛋白質レベル、mRNAはCDDP処理、非処理に関わらず有意な差はなかった。 (5) HSPの免疫組織染色をした。HSP27は耐性細胞でより強く発現しCDDP処理で増強した。HSP60は両細胞とも強陽性であった。HSP70ではHSP27と同様耐性細胞に強く発現しCDDP処理で増強した。蛋白質レベルではHSP27ではKBに比べ耐性細胞に約3.5倍、CDDP処理したKBはKBに比べ2.5倍に増強した。HSP60では両細胞間に差はなかった。HSP70ではKBに比べ耐性細胞に約1.2倍、CDDP処理の両細胞は1.5倍に増強した。 (6) MTを免疫組織染色した。両細胞間にCDDP処理、非処理に関わらず有意な差はなかった。 以上の結果より、KB-CDDPrのCDDP耐性にはPt細胞内含有量、HSP27、70の発現増強が関与していることが示唆された。 今後、Ptの細胞内含有量の低下の解析、すなわちCDDPの排出機構を検討していきたい。
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Research Products
(1 results)