1998 Fiscal Year Annual Research Report
Hepatocyte Growth Factorを介した口腔扁平上皮癌の進展
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09672087
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
松本 堅太郎 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (30221592)
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Keywords | 口腔癌 / 腫瘍血管新生 / HGF |
Research Abstract |
実際の口腔癌患者から得た検体の組織標本において、癌胞巣周囲の微少血管の血管内皮細胞にc-Met(HGF受容体)発現が高頻度に認められた。すなわち、口腔癌の腫瘍血管新生には、HGFが関与している可能性が推察された。一方、Vascular endothelial cell growth factor(VGEF)の受容体であるFlt-1やFlkは、すべての微少血管に発現は認められず、頻度的にはo-Metより少なかった。このことから、口腔癌においてはFlt-1やFlkの発現は常に生じているのではなく、むしろ何らかの因子によって誘導されている可能性が考えられた。HGFによるこれら受容体発現の可能性も考えられたため、in vitroの実験にて検討した。96-well培養皿で培養中のHUVECに対して、HGF(10ng/ml)を添加し、ELIZA法を用いてFlt-1やFlkの発現強度を測定したが、HGFによるこれら受容体の発現増強は明らかでなかった。すなわち、Flt-1やFlkの発現はHGF-c-Metのシグナル伝達の下流にあるのではなく、HGF以外の因子によってこれら受容体の発現が制御されることが推察された。さらに、血管新生を阻害することによる口腔癌における抗腫瘍効果について検討するために、TNP-470をウサギVX2舌癌モデルに対して投与した。その結果、同薬剤の著しい抗腫瘍効果が認めらた。すなわち、腫瘍血管新生を阻害することは口腔癌の治療に有用であり、新しい治療法として臨床応用が可能であるとか考えられた。本研究の結果より、HGFが腫瘍血管新生に作用し、ひいては口腔癌の進展に関与していることは明らかであるため、今後はHGF-c-Metのシグナル伝達の阻害による抗腫瘍効果について研究したいと考えている。
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[Publications] Kentaro Matsumoto,et al.: "Intra-tumor injection of an angiogenesis inhibitor,TNP-470,in rabbits bearing VX2 carcinoma of the tongue." Int.J.Oral Maxillofac.Surg.28(in press). (1999)