1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜細胞のストレスタンパク質によるメカニカルストレスの情報伝達機構
Project/Area Number |
09672091
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 義之 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20187470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 英夫 東北大学, 歯学部, 教授 (50014220)
清水 義信 東北大学, 歯学部, 助教授 (20005078)
|
Keywords | ストレスタンパク質 / 矯正学的歯の移動 / 歯根膜細胞 / メカニカルストレス / HSP47 / HSP60 / HSP70 |
Research Abstract |
本研究は、矯正力による歯周組織の改造機構におけるストレスタンパク質(HSP)の役割を明らかにすることを目的として、ヒト歯根より得た歯根膜線維芽細胞(PDL)にin vitroで持続的圧縮力と周期的伸展力を負荷して、メカニカルストレスによるストレスタンパク質の発現を調べた。持続的圧縮力は粒状鉛で1,2,4,6g/cm^2に重さを調節したガラス円筒を細胞の上に直接乗せることにより30分〜3日間負荷した。周期的伸展力は、FLEXCELL社製のFlexcercellで1秒間伸展-1秒間リラックスの30周期/minで最大15%elongationの様式で30分〜3日間負荷した。負荷後、抗HSP47、60,70モノクロナール抗体を用いてウエスタンブロッティング法によりHSPのタンパク発現を解析した。PDLは持続的圧縮によりHSP47、60,70の発現の増強を認めたが、発現様相はそれぞれ異なっていた。HSP47は圧縮負荷開始約30分後から負荷前よりも低い発現状態になり、負荷開始約2時間後より発現が増強し、24時間以降に発現のピークを示した。HSP60は圧縮力負荷開始直後にわずかに発現を増強した後、約30分後から負荷前と同程度か負荷前よりも低い発現状態になり、負荷開始約1時間後より発現が増強し、約6時間後に発現のピークを示した後減弱し負荷前の状態に戻った。HSP70は圧縮力負荷開始約30分後より発現が増強し、約1時間後に発現のピークを示した後減弱し負荷前の状態に戻った。それに対して周期的伸展力をPDLに負荷すると、HSPの発現様相はPDLの種類により異なり、発現の増強を認める細胞とほとんど変化しない細胞が認められた。発現の増強を認める細胞は、負荷開始12時間以降でHSP47,60,70の発現の変化を示し、その後72時間後まで発現の増強を認めた。以上の結果より、PDLにはメカニカルストレスによる発現の制御機構が存在するが、発現様相は負荷様式と細胞の種類により異なることが示唆された。
|
-
[Publications] 岡崎雅子, 清水義之, 千葉美麗, 三谷英夫: "周期的伸展力によるヒト歯根膜線維芽細胞のストレスタンパク質の発現の解析" 日本矯正歯科学会雑誌抄録集. 117 (1997)
-
[Publications] 清水義之, 岡崎雅子, 三谷英夫: "圧縮力によるヒト歯根膜線維芽細胞のストレスタンパク質発現の解析-第2報" 歯科基礎医学会雑誌. 39. 437 (1997)
-
[Publications] 清水義信, 清水義之, 千葉美麗他: "In vitro培養したヒト末梢血リンパ球/単球から形成された破骨細胞様細胞と骨吸収窩" 歯科基礎医学会雑誌. 39. 55-63 (1997)