1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口唇の最適咀嚼制御入力に関する歯科矯正学的検討-口唇閉鎖不全患者を対象として-
Project/Area Number |
09672095
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤田 幸弘 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (50192729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 邦道 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10014200)
久野 昌隆 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80282763)
大坪 邦彦 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20272601)
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Keywords | 口唇感覚 / 口唇閉鎖不全 / 不正咬合者 / ガム咀嚼 / 最大開口距離 / 顎二腹筋筋電図 / 咬筋筋電図 / 矯正治療 |
Research Abstract |
口唇閉鎖不全を有する被験者に、矯正治療前後において、主咀嚼側でガムを咬ませ、その際の下顎運動および左右の咬筋、顎二腹筋より表面電極にて双極導出する筋電図の記録を行った。両時点の記録において、咀嚼の第5ストロークから第14ストロークまでの10ストロークを解析の対象とし、各ストロークの最大開口距離、顎二腹筋筋電図の持続時間、積分値、閉口相開始から咬筋の筋放電開始までの時間、咬合相開始から顎二腹筋の筋放電開始までの時間といった項目を計測し、両者において、それらの計測値に差が認められるか否かを比較し、検討した。 その結果、矯正治療により口唇閉鎖不全が解消した患者では最大開口距離が増大し、顎二腹筋筋電図の持続時間が延長し、咬合相開始から顎二腹筋の筋放電開始までの時間が短縮する傾向が認められた。 以上のことより、安静時に上下唇間が大きく離開しているような上顎前突あるいは開咬を有する不正咬合者では、口唇機能の正常な者に比べて、咀嚼運動が十分に効率よく行われていないことが明らかとなった。そして、その原因の1つは咀嚼時の口唇からの感覚情報を減少させるような口唇および歯・顎骨の形態不正にあり、矯正治療により口唇閉鎖不全を解消した結果、咀嚼時の口唇から中枢への感覚情報の伝達様式が変化し、咀嚼運動が正常になったものと考えられた。 以上の結果は、学術雑誌に報告する予定である。
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[Publications] Nobuhiro Nakazawa, Yukihiro Fujita, Kunimichi Soma, et al.: "Displacement of the maxillary first molar in malocclusion during clenching" Orthodontic Waves. 57(3). 195-198 (1998)
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[Publications] Ken Shibasaki, Yukihiro Fujita, Kunimichi Soma, et al.: "The development of a new recording device for condylar head movement attached to external auditory meatus" J. Oral Rehabili.(in press). (1999)
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[Publications] 福山 英治、藤田 幸弘、相馬邦道: "開口量及びBackground activityの変化がヒト咬筋筋活動に及ぼす影響" 日本矯正歯科学会第57回大会抄録集. 118- (1998)