1997 Fiscal Year Annual Research Report
新しい歯垢抑制剤第4級アンモニウム塩類のう蝕予防に関する実験的・臨床的研究
Project/Area Number |
09672124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
中村 康則 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (20095201)
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Keywords | 第4級アンモニウム塩 / 塩化デカリニウム / 臭化ドミフェン / 塩化セチルピリジニウム / 水歯磨き / 歯垢形成抑制 / GTase阻害 / う蝕予防 |
Research Abstract |
う蝕予防剤の開発研究に鑑み、現在“水歯磨き"として利用のある塩化セチルピリジニウム(CPC)にヒントを得、これと同じ第4級アンモニウム塩類から新たに見つかった不溶性グルカン合成抑制(GTase阻害)作用をもつ塩化デカリニウム(CD)および臭化ドミフェン(DB)について、その有効使用濃度を調べる目的で以下の反応試験を行った。CPC、DC,DBの核濃度を0.01〜0.2mg/mlとする2%スクロース含有KPB液に、serotypeの異なる2種のGTase(S.sobrinus 6715株(g)から得たGTaseと、S.ferus MT6R(c)から得たGTase)をそれぞれ添加し、37℃で反応させ、生成した不溶性グルカン(IG)を付着性と非付着性に分け、各々のIG量をフェノール硫酸法で測定した。 1 6715株GTaseの結果:総IG量(付着性+非付着性)は、CPC、DCおよびDBの低濃度(0.03mg/ml以下)ではいずれも無添加対照より高い値を示したが、濃度が高くなるに従い指数曲線的に減少した。付着性IG量は、非付着性IG量に比べ、3薬物とも中-高濃度(0.06mg/ml以上)で少なかった。3薬物が総IG合成を50%抑制する濃度は、CPCで0.04mg/ml、DCで0.05mg/ml、DBでは0.08mg/mlであり、同一濃度間でのIG合成抑制力はCPC≧DC>DBであった。 2 MT6R株GTaseの結果:総IG量は、3薬物とも濃度依存的に減少した。付着性IG量は、3薬物ともすべての濃度において少ししかみられなかった。3薬物が総IG合成を約50%抑制する濃度は、CPCで0.05mg/ml、DCで0.01mg/ml、DBでは0.06mg/mlであり、同一濃度間でのIG合成抑制力はDC>CPC≧DBであった。 3 以上の結果から、DCとDBは、濃度は異なるがCPC同様の強いGTase阻害作用をもつことが示され、ヒトに多いう蝕病原菌のserotyope cに対しては、DCはCPC、DBより低濃度でIG合成抑制を発揮することが明らかとなった。 今後(平成10年度)はこれらの知見を踏まえ、DC、DBを飲料水または飼料に混入するラットう蝕実験を遂行する。
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