1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子フッ素のエノン系への付加を基盤とする位置選択的フッ素導入法
Project/Area Number |
09672133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 雅之 東北大学, 薬学部, 助教授 (80004654)
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Keywords | 分子フッ素 / 含フッ素有機化合物 / α-フルオロケトン / ビシナ-ルジフルオロ化合物 / 5,6-ジフルオロウラシル / 位置選択的フッ素導入法 |
Research Abstract |
1.ヒドロキシメチレン基を活用するカルボニル化合物の位置特異的フッ素化法 α-フルオロカルボニル化合物は最も基本的な含フッ素合成単位であるが,カルボニル化合物の直接フッ素は底効率なうえ,位置選択性が低い.そこでカルボニル化合物をホルミル化してα-ヒドロキシメチレン基を導入して活性化した.このα-ヒドロキシメチレンケトン体のアセトニトリル溶液に低温下分子フッ素を導通後,水洗処理した結果,一般に高い収率でα-フルオロカルボニル化合物を得ることに成功した.この反応は分子フッ素のメチレンに二重結合への付加,フッ化水素酸の脱離,脱ホルミル化を経て進行するものと考察される.このフッ素導入法は反応条件が極めて緩和なこと,極めて位置特異的であることなどから,広範なα-フルオロカルボニル化合物の合成法として有用と期待される. 2.複素環化合物の位置選択的フッ素化法多くの医薬品の母核は複素環で構成されている.従って,その位置選択的フッ素導入法の開発は医薬品化学において極めて重要であるが,一般に複素環へのフッ素導入法は殆ど未開拓である.著者は含窒素複素環(ウラシル,ピリドン,キノロン,イソキノロン等)に内蔵されるエノン系(またはそのビニログ)に分子フッ素が比較的効率良く,同時に選択的に付加することを見い出した.また,これらのエノンのβ位にクロロ基があれば生成するクロロジフルオロ体からの塩化水素の脱離が容易に生起し,ビシナルジフルオロ複素環化合物が高選択的に合成できることを見い出した.この手法により6-クルロウラシルをフッ素化し,抗腫瘍活性の期待される5,6-ジフルオロウラシル体の合成にも成功した.
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